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MMWR抄訳

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2017/01/27Vol. 66 / No. 3

MMWR66(3):76-79
Cluster of an Unusual Amnestic Syndrome — Massachusetts, 2012–2016

異常な健忘症候群の集団発生 ― マサチューセッツ州、2012~2016年

2015年11月、マサチューセッツ州ボストンの神経科医が州の公衆衛生局に、MRIにて両側海馬の急性、完全虚血を示す異常な健忘症候群4例を報告した。州が登録されている神経科医、神経放射線科医、救急科医らに電子メールにて警告を出したところ、2012年~2016年にてさらに10例を認め、症例は計14例(男性:10例、女性:4例、平均/中央値:35歳)となった。14例中9例は受診時に意識がなく、うち5例は気管内挿管を要した。他の5例は家族、友人、知人らが記憶の消失に気付き搬送された。前向性健忘症の他に見当識、注意および実行機能欠損を認めたが、これらの異常は改善し、1例は5ヵ月後に記憶消失が回復、2例は1年以上の追跡にて変化はない。頭部MRIは13例にて初診から5日以内、1例は8日後に実施、両側海馬虚血のほかに9例にて皮質下および後部海馬外領域にて虚血性変化を認めた。5週後に再検査を行った1例にてこれらの異常の完全回復を認め、13、22カ月後に再検査を行った2例では、両側海馬の容積減少を認めた。14例中13例に物質使用障害の既往があり、1例は初診時にオピオイドおよびコカイン陽性を示した。12例にオピオイド、6例にベンゾジアゼピン使用歴があり、他にマリファナ、LSD、MDMA、コカインなどの使用歴を認めた。てんかんの既往歴は1例にあり、他に搬送中に1例、健忘症候群評価後に1例が発症したが、3例ともにEEGにててんかん様の異常は認めなかった。また、高血圧、高脂血症、糖尿病、睡眠時無呼吸などの血管系疾患リスクは6例に認め、心電図検査にて2例(50歳、52歳)が心房細動と診断され、1例(36歳)が無脈性電気活動および呼吸停止を示した。腰椎穿刺では脳脊髄液の異常所見はみられず(5例)、カルボキシヘモグロビンおよびメトヘモグロビン濃度の異常も認めなかった(2例)。さらにAST/ALT濃度は測定した13例全例にて高く、1例は500 U/L(正常上限値の約10倍)を超えていた。以上、19~52歳の比較的若い年齢層のオピオイドなど薬物中毒例では、このような健忘症候群との関連を疑うべきである。

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