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MMWR抄訳

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2016/11/18Vol. 65 / No. 45

MMWR65(45):1261-1264
CDC Grand Rounds: A Public Health Approach to Detect and Control Hypertension

CDC Grand Rounds:高血圧の発見およびコンロトールに対する公衆衛生の取り組み

高血圧は一般的には収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上と定義され、心血管疾患および脳卒中の主な危険因子で、18歳以上のアメリカ居住者の約1/3(7500万人)に影響を及ぼしている。高血圧の成人の約半数(3,500万人)はコントロール不良であるが、このうち、81%は健康保険に加入し、83%はかかりつけ医があり、79%は前年に医療ケアを受けている。これらのデータは現在のシステムのギャップと障壁を示しており、問題に取り組んだ場合、アメリカ人口における高血圧コントロール改善および高血圧に関連する有病率/死亡率の大幅な減少につながる可能性がある。高血圧の発見およびコントロールの好機を逃してしまうことは、個人レベル、医療提供者レベル、ヘルスケアシステムレベルで起こりうる。Million Hearts Initiative(Million Hearts)はアメリカの保健社会福祉省の戦略で、2017年までに100万の心臓発作および脳卒中を予防することを目指している。そのため、Million Heartsでは、リスクの高い集団におけるより正確な血圧測定の促進、降圧治療の改善、高血圧についての意識の向上による高血圧の発見およびコントロールの増強を目標としている。今回、2つのヘルスケアシステムおよび公衆衛生部門における目標達成のための具体的な取り組みを紹介する。イリノイ州にあるNorthShore University Health Systemでは、血圧が上昇した患者同定のためのスクリーニングを改善するためのプロジェクトを実施し、外来一次診療技術革新グループと臨床インフォマティックスのチームが電子カルテ(EHR)内に企業規模の高血圧調査システムを構築した。NorthShore高血圧診断基準と呼ばれるアルゴリズムにより、診断基準に1つでも該当した患者には高血圧のリスクのあることが通知され、自動測定診察室血圧(AOBP)の受診を予約するように促される。プロジェクトの最初の8カ月間で、高血圧と診断されていなかった836例の患者のうち435(52)が高血圧と診断された。電子的な警告と併用したEHRデータによる未診断の高血圧患者のスクリーニングは、未診断の高血圧患者数の減少に有効であった。メリーランド州とワシントン特別区にある最大規模のヘルスケアシステムのMedStar HealthにおいてEHRのシステム全体に実施されているプログラムでは、患者の併存疾患を考慮してガイドラインに推奨されている目標血圧の初期値が提案され、その後の受診のたびに医療提供者と患者が血圧目標値を達成できたかどうかを知ることができる。プログラム導入後1年では、エビデンスに基づいた血圧目標が記録されている患者の割合は5%から92%に増加し、血圧コントロール不良の患者は32%から28%に低下した。また、アメリカで高血圧の有病率(成人男性:44.7%、女性:47.6)およびコントロール不良の割合(成人男性:18.9%、女性:21.4)が最も高い地域のひとつのフィラデルフィアでは、2010年にフィラデルフィア公衆衛生部門(PDPH)CDCと共同で、管轄区の公衆衛生データ基盤の改善のためにOffice of Health Information and Improvementを局内に設置し、高血圧データを入手するための作業グループを組織している。収集されるデータには、年齢、性別、人種、保険の種類、18歳以上の高血圧患者数、血圧コントロールされている患者数が含まれた。さらに、フィラデルフィアにおける18歳以上の585,922(同年齢の50%に相当)の被保険者のデータを収集した。全体で高血圧の有病率は24.2%で全国調査値より低かったが、被保険者の年齢分布が関与していると思われ、被保険者の56.1%が44歳未満であった。PDPHの取り組みは、この問題を解決するためにシステムを超えて協力するには、公衆衛生がどのように利害関係者(例えば、保険、ヘルスケアシステム)を参加させることができるかを示していると思われる。

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