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MMWR抄訳

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2016/09/16Vol. 65 / No. 36

MMWR65(36):977-978
Investigation of First Identified mcr-1 Gene in an Isolate from a U.S. Patient — Pennsylvania, 2016

アメリカ人患者から単離された初のmcr-1遺伝子の研究 ― ペンシルベニア州、2016年

2015年、抗生物質コリスチン耐性mcr-1遺伝子をエンコードするプラスミドの出現が報告され、アメリカでは20165月、尿路感染症の検査受けたペンシルベニア州の女性から初めてmcr-1陽性大腸菌が単離され、尿の培養に続く検査で、拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌のコリスチン感受性の低下が認められた。この患者は約1年間海外旅行をしておらず、家畜への曝露はなく、食事も食料品店で購入した食材を調理したものであったが、2016年に4ヵ所の医療施設に入退院を繰り返していた。CDCPennsylvania Department of Healthは患者の家族および7日間以上接触のあった2施設の医療従事者の追跡調査と直腸周囲検体の細菌スクリーニング検査を実施した。スクリーニング検査を行った105名にmcr-1遺伝子は検出されず、患者が入院していた4施設にて単離されたESBL産生菌にコリスチン耐性を示す生物体は認めなかったことから、患者と接触のあった健常人への感染のリスクは低いと考えられた。直腸周囲検体のモニタリングでは、531日、626日採取の検体はともにmcr-1陽性であったが、81日採取の検体はmcr-1陰性となった。この期間、抗生物質の投与は行われておらず、現在も消化管のグラム陰性菌の除菌は行っていない。この患者はmcr-1陽性であるヒトや場所と疫学的な関連がなく、mcr-1陽性となった経緯は不明であるが、2015年、ニューヨークで採取された患者の検体にて大腸菌にmcr-1が確認され、ブタおよびウシから単離された大腸菌にはmcr-2が発見されている。この新しい耐性菌の感染の拡大防止は緊急を要するものであり、コリスチン耐性菌を認める場合は地域の保健局へ迅速に報告すべきである。

References

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  • McGann P, Snesrud E, Maybank R, et al. Escherichia coli harboring mcr-1 and blaCTX-M on a novel IncF plasmid: first report of mcr-1 in the United States. Antimicrob Agents Chemother 2016;60:44201. <http://dx.doi.org/10.1128/AAC.01103-16>
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