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MMWR抄訳

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2016/06/03Vol. 65 / No. 21

MMWR65(21):529-533
Human Rabies — Wyoming and Utah, 2015

ヒトの狂犬病 ― ワイオミング州およびユタ州、2015年

狂犬病は、ほぼ全世界に存在する致死性の人獣共通感染症である。2015年9月22日、ワイオミング州在住の77歳女性が5日間の進行性の衰弱と運動失調により救急受診した。検査時、発語不明瞭で飲水および自力での起立は困難であったが、血液所見に異常はなく、MRIにて脳や脊髄に急性病変は認められなかった。入院後、衰弱、運動失調、嚥下障害が進行、意識不鮮明および呼吸困難を来し、9月27日にユタ州の病院に転院したが、昏睡状態に陥った。家族の話により、患者は8月22日に住居内でコウモリに接触していたことが判明した。接触時のコウモリによる咬傷は認められず、医療機関も受診しなかった。10月2日、CDCにて狂犬病ウイルスRNAおよびウイルス抗原が検出され、狂犬病と確定診断された。検出された狂犬病ウイルスはシルバーコウモリ(Lasionycteris noctivagans)に感染する地方病性の亜型であった。患者は10月3日に死亡した。確定診断を受け、ワイオミング州保健省(WDH)およびソルトレーク郡保健局は家族およびコミュニティの接触者15名の聞き取り調査を開始し、患者およびコウモリとの接触歴から狂犬病暴露リスクを評価した。狂犬病ウイルスは発症前2週から唾液や涙に排出されることから感染期間は9月4日以降と推定され、患者の夫および家族1名、他の接触者2名が暴露後発症予防(PEP)ワクチンの接種を受けた。ワイオミング州およびユタ州の病院においても同様に評価を行い、治療にあたった100名の医療関係者のうち22名がPEPの接種を受けた。以前より患者住居の軒下および周囲ではたびたびコウモリが目撃されており、患者の夫および家族はコウモリ駆除に関し、野生動物や有害動物の専門機関や保健機関に8月22日の暴露後を含め複数回照会したものの、狂犬病についての情報は得ていなかった。WDHは、狂犬病の予防に関し10月2日に報道発表を行い、また、郡の関係機関に対し狂犬病のリスクおよび適切な照会について情報提供を行った。狂犬病は致死性であるものの、適切なPEPワクチンの接種により発症予防が可能であり、今後、コウモリとの接触による暴露リスクについてより周知を徹底する必要がある。

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