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MMWR抄訳

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2016/03/25Vol. 65 / No. 11

MMWR65(11):282-285
Photokeratitis Linked to Metal Halide Bulbs in Two Gymnasiums — Philadelphia, Pennsylvania, 2011 and 2013

2カ所の体育館におけるメタルハライド電球に関連した光線角膜炎 ― ペンシルべニア州フィラデルフィア、2011年および2013年

2011年12月および2013年12月に、フィラデルフィアの公衆衛生部門(PDPH)は体育館イベントに関連した光線角膜炎の集団発生について、それぞれ報告を受けた。光線角膜炎は紫外線放射に対する無防備な曝露が原因で目の痛みが生じる状態で、これまでに外部被覆の損傷したメタルハライドランプとの関連が報告されている。光線角膜炎の集団発生の原因および症例の特徴を調査するために、PDPHは曝露した可能性のある人たちにアンケート調査を実施し、体育館の環境調査を行った。2011年の集団発生では、12月4日から6日の間に127例が灼熱感、充血、涙目、異物感を含む眼の刺激症状のために地域の救急科(ED)および診療所を受診した。積極的な調査を実施したThe Children’s Hospital of PhiladelphiaのPoison Control Center(PCC)によりPDPHへ通報され、すべての症例が12月4日の地域の高校の体育館でのチアリーディングのイベントに参加していたことが判明した。症状が化学性刺激物に起因する急性結膜炎と一致することから、フィラデルフィア警察、消防、保健部門による体育館のビデオ映像および有害化学薬品を含む調査が行われた。すべての化学薬品試験の結果は陰性であったが、体育館天井のメタルハライドランプの外部被覆が破損しており、考えられる眼の刺激の原因として同定された。参加者の曝露および症状の状況を明らかにするために12月7日に電子メールによる調査を実施し、参加者の約75%の760人が回答した。回答者のうち、242例(32%)が光線角膜炎の症状合致し、内訳は眼の灼熱感(93%)、充血(86%)、涙目(76%)、異物感(74%)であった。曝露から症状発生までの期間中央値は9時間(0~72時間)、症状があった人の年齢中央値は29歳(生後2週~72歳)であった。発症のリスクは、観客席に2時間以上座っていた人で高く、コンタクトレンズまたは眼鏡を装着している人では低く、症状が現れた人は現れなかった人と比べ体育館に長時間滞在している時間が有意に長かった。2013年の集団発生では、12月28日に7例がレクリエーションセンターの体育館で活動後に光線角膜炎の症状にて地域のEDを受診したため、PCCがPDPHへ目の刺激の集団発生を通報した。その後、同一施設に関連した光線角膜炎の症例がさらに3例報告された。PDPHがレクリエーションセンターを調査した結果、化学物質は検出されなかったが、体育館内で使用しているメタルハライドランプの外部被覆の破損が確認された。PDPHがEDでの主訴による調査、およびレクリエーションセンターへ光線角膜炎症例の情報提供を要請した結果、潜在的症例は合計で40例であった。連絡が可能であった21例に対し電話を基にしたアンケート調査を実施した結果、20例が症例の定義と一致し、男性18例、年齢の中央値(14~57歳)であった。17例がEDを受診し、体育館での曝露は30分~4時間で、主な症状は灼熱感(100%)、充血(95%)、涙目(95%)、4例では皮膚の剥離およびかさつきがあった。受診した17例中10例は、初診時に感染性結膜炎(5例)、ドライアイ(3例)、アレルギー反応(2例)と診断されていた。光線角膜炎に関連する臨床所見および曝露に関する医療関係者の教育の改善は、誤診を防ぐ可能性がある。また、施設管理者は破損した電球の検査および迅速な交換の訓練を受ける必要がある。

References

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