ホームIMICライブラリMMWR抄訳2015年(Vol.64)地域社会におけるエボラウイルス病に関する知識、態度・・・
2015/07/10Vol. 64 / No. 26
MMWR64(26):714-718
Community Knowledge, Attitudes, and Practices Regarding Ebola Virus Disease — Five Counties, Liberia, September–October, 2014
2015年7月1日までに、ギニア、リベリアおよびシエラレオネにおけるエボラウイルス病(Ebola)の確定例、可能性例および疑い例の報告数は27,443例、死亡数は11,220例に達した。ギニアおよびシエラレオネでは伝播が継続しており、リベリアでは、2015年5月に終息宣言が出されたものの、6月29日に新たな発生が報告されたところである。地域文化に基づく行動や信仰が、疾病コントロールの障害になる可能性がある。2014年9月17日~10月11日、CDCの疫学調査チームは、ボン郡、マージビ郡、メリーランド郡、リバージー郡、シノエ郡の5郡にて地域社会におけるEbolaに関する知識、態度および行動(KAP)調査を実施した。5郡のうち、9月17日までの症例数からボン郡(482例)およびマージビ郡(229例)を高累積発生率郡とし、一方、メリーランド郡(8例)、リバージー郡(12例)およびシノエ郡(6例)を低累積発生率郡とした。調査はインタビュー形式で38問の質問を行い、うち33問の回答をスコア化した。5郡において総数609名から回答を得た。全体として基礎的な知識スコアは高かった。知識に関する17問では、Ebolaの経験が少ない低累積発生率郡で、伝播に関する知識(野生動物の肉を食すること、Ebolaによる死者の葬儀への参加)の正答率が低く、また、呪いや魔術をEbolaの原因とする率が高累積発生率郡より有意に(34.8% vs 7.4%)高かった。全体的に、Ebola無徴候患者からの伝播に関する理解が低く(40%)、Ebola症状の知識に自信がなかった。態度に関する9問では、高累積発生率郡と低累積発生率郡で、罹患後の回復者に対する恐怖(34.6% vs 47.8%)とEbola治療ユニットに関する誤解(37.9% vs 61.6%)に有意差が認められた。スコア化しなかった5問では、回答者の大多数(90%超)がEbola患者およびその同居者に対し恐れを抱いていた。低累積発生率郡の多くの回答者が、医療機関の受診および治療に対し恐れがあると回答した。本KAP調査は、Ebola発生初期のリベリアにおける地域社会レベルの調査であり、Ebolaに対する恐怖心や誤解の存在を明らかにした。Ebola伝播遮断のためには、文化的な行動や信仰に留意した努力の継続が必要である。
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