ホームIMICライブラリMMWR抄訳2015年(Vol.64)伝統的な1件の葬儀が関連したエボラの伝播 ―キシド・・・
2015/04/17Vol. 64 / No. 14
MMWR64(14):386-388
Ebola Transmission Linked to a Single Traditional Funeral Ceremony — Kissidougou, Guinea, December, 2014–January 2015
2014年12月18日、ギニア保健省はキシドゥグ県の地方保健局からエボラウイルス病(Ebola)症例数のアウトブレイクについて報告を受けた。Ebolaの週あたり症例数は、12月8~14日の1例から12月15~21日に62例と急増し、2014年3月のギニアにおけるEbola発生以来、最多となった。ギニア保健省はCDCおよびWHOに対し、症例の特定と隔離、疾病伝播の遮断とコントロールの協力を要請した。12月19日、疫学専門家、医療者および公衆衛生官から成る緊急対応チームが、症例の報告された村に入り、調査を開始した。疑い例はEbola治療センター(ETC)に隔離し、症例および死亡例から検体を採取し、ETCにてRT-PCR検査を行った。62例の検体は全てエボラウイルス陽性であった。全例がキシドゥグ県内6村の居住者で、56例(90%)がEbola症状を呈し、51例(82%)が死亡(33例はETC、18例は居住地にて)した。家族への聞き取り調査により、18例は12月初旬に、地元では有名な助産師助手男性の葬儀に参列していたことが判明した。助産師助手は定期的に割礼も施行しており、11月中旬にマセンタ州にて乳児の割礼を行い(乳児はその後死亡)、帰村約1週間後にEbola様の症状を発現、12月4日に死亡した。医療機関を受診しておらず、原因不明死とされ、葬儀には村民および近隣住民約100人が参列した。ギニアおよび西アフリカ諸国の葬儀では、遺体の沐浴、手で触れる、接吻などが伝統的に行われる。参列者は遺体および体液との直接的な接触があったと考えられる。助産師助手は12月18日に可能性例として記録された。2015年1月31日までに、この伝統的葬儀に関連し、62例(73%)を含め計85例がEbolaと確診された。18例(21%)は葬儀に参列、67例(79%)は参列者との直接接触があり、63例(74%)が死亡した。最終症例発生後21日間、9つの追跡調査チームが12村の接触者計780名について監視し、1月10日以降、新たな症例は発生していない。本アウトブレイクにより、Ebolaコントロールのためには、コミュニティの文化に配慮した衛生的な遺体の埋葬法の訓練と遵守が必要であることが示唆された。
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