ホームIMICライブラリMMWR抄訳2015年(Vol.64)キュウリに関連したSalmonella Newpo・・・
2015/02/20Vol. 64 / No. 6
MMWR64(6):144-147
Outbreak of Salmonella Newport Infections Linked to Cucumbers — United States, 2014
2014年8月に食品媒介疾患監視の国内の分子サブタイプネットワークであるPulseNetは、区別できないパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターン(XbaI PFGE パターン JJPX01.0061)を示すSalmonella enterica(血清型Newport)の複数の州にわたる感染クラスターを検出した。このPFGEパターンは過去にデルマーバ地域のバージニア州のイースタンショアから収穫されたトマトの消費と関連していたが、キュウリまたはその他の作物との関連は報告されていなかった。汚染された食品および汚染源を同定するために、CDC、州および地域の保健および農業部門、研究室、FDAは、疫学的調査、汚染源の追跡、研究室での検査を実施した。5月20日~9月30日に発症した症例のうち、PFGE パターン JJPX01.0061を示すSalmonella Newportへの感染は、29州およびワシントンDCから275例が報告された。症例の年齢中央値は42歳(範囲:1歳未満~90歳)、女性は66%であった。症例の34%(141例中48例)が入院し、死亡は高齢男性1例(菌血症)であった。発症前1週間の葉物野菜、トマト、デルマーバ地域で一般的な野菜、魚介、果物への曝露に焦点を絞った予備的アンケート調査うをした101例では、回答者の62%(79例中49例)で、発症前1週間にキュウリを摂取しており、2006~2007年のFoodNet Population Surveyの回答者と比較してキュウリの消費を報告する傾向が有意に多かった。一方、トマト、葉物野菜、その他の農産産物の摂取を報告した症例の割合は、FoodNet Population Surveyの結果から期待されるより多くはなかった。メリーランド州、デラウェア州、ニューヨーク州当局では、FDA、農務省の食品媒介アウトブレイク即応チームとともに、12件のサブクラスターのうち9件において消費された農産物の小売店からの流通履歴を追跡した。その結果、メリーランド州とデラウェア州ではデルマーバ地域のメリーランド州イースタンショアの栽培者が同定され、一方、ニューヨーク州ではこれらの州とは異なる流通チェーンであった。メリーランド州の関係当局はキュウリの栽培、収穫、包装エリアから48検体の環境サンプルを採取し、農場から堆積物および肥料の検体も採取したが、検体採取は収穫後数カ月たっており、Salmonellaが検出された検体はなかった。記録およびインタビューから、農場では収穫前約120日にわたり家畜敷料を畑に使用したことが判明したが、検体は得られなかった。症例から分離した58の臨床株について全ゲノム配列決定を実施した結果、系統発生解析からデラウェア州、メリーランド州、オハイオ州、ペンシルベニア州、バージニア州からの臨床株は遺伝的に高度に近接した一次集団を形成し、ニューヨーク州からの臨床株は別の遺伝的に近接した集団を形成することが示された。CDCのNational Antimicrobial Resistance Monitoring Systemの研究室がアウトブレイクの臨床株3件について抗生物質への耐性を試験した結果、すべて抗生物質感受性であった。新規のアウトブレイクの媒介との疫学的関連はデルマーバ地域のSalmonellaの環境的保菌を示唆しており、今後のアウトブレイクの予防が必要である。
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