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MMWR抄訳

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2014/08/29Vol. 63 / No. 34

MMWR63(34):753-755
Update on Cases of Delayed Hemolysis After Parenteral Artesunate Therapy for Malaria — United States, 2008 and 2013

マラリアに対する非経口アーテスネート療法後の遅発性溶血の症例に関する最新情報 ― アメリカ、2008年および2013年

非経口アーテスネート(artesunate)は、非経口のキニーネまたはキニジンと比べ生存率が上昇し、安全性に優れていることから、数カ国で重症マラリアに対するファーストラインの治療として使用されている。一方、非経口アーテスネートは遅発性溶血(PADH)と関連しており、薬物毒性の懸念を招いている。アルテミシニン投与後のPADHは、アーテスネートのようなアルテミシニンをベースとした抗マラリア治療の開始後1~3週で発症し、死亡の原因にはならないが、溶血中のヘモグロビン値の減少が特徴である。CDCは2012年の文献レビューにより2010~2012年に19例のPADHを確認し、最新のレビューではさらに18例を確認したが、大半はヨーロッパの旅行者であった。また、マラリア症例報告のレトロスペクティブなレビューおよびアメリカでの積極的な監視を実施した結果、さらに2例のPADHを確認した。このうち1例は49歳女性で、2008年11月に赤血球寄生率9%の異常寄生虫血症(寄生率5%以上)により、重症の熱帯熱マラリアと診断された。非経口アーテスネートによる治療が奏効し4日後に退院したが、治療開始後11日目に脱力、疲労、息切れ、両下肢の浮腫が発現し、ヘモグロビン値は入院時の11.1g/dLから5.7g/dLまで低下した。その他の臨床検査値はLDH:981U/L、総ビリルビン値:1.2mg/dL(正常値:0.1~0.9mg/dL)、網赤血球数:12.3%(正常値:0.5~1.5%)であった。患者は3ユニットの赤血球輸血を受け、アーテスネート開始後19日にはヘモグロビン値が9.8g/dLまで上昇し、輸血後1週間で息切れおよび浮腫が改善した。2例目は、26歳男性で2013年8月に発熱のため外来を受診し、マラリアが疑われアーテメータ/ルメファントリン合剤を2回投与されたが、錯乱が進行したため翌日に救急外来を受診した。同日に入院し、重症の熱帯熱マラリア(寄生率10%以上)と診断され、非経口アーテスネート治療が開始された。入院時のヘモグロビン値は8.9g/dLで、3ユニットの赤血球輸血が実施された。アーテスネート療法に続き、アトバコン・プログアニルを標準的な3日間連続投与後、さらに8日間延長した。アーテスネート開始後9日にヘモグロビン値が6.8g/dLに低下し、臨床検査値から急性溶血性貧血が示されたため、さらに4ユニットの赤血球輸血を実施した。患者はアーテスネート開始後13日に退院した。調査では、少数のPADH患者では輸血を必要としたが、経過観察の情報が利用可能であった症例は全例で完全に回復した。レビューの結果から、PADHは一度感染した赤血球のクリアランスの遅延が原因で発症し、薬剤関連の毒性ではないことが示唆された。それゆえ、非経口アーテスネートは重症マラリアに対し安全な治療であると考えられ、治療選択肢の一つである。

References

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