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MMWR抄訳

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2013/09/27Vol. 62 / No. 38

MMWR62(38):793-796
Updated Information on the Epidemiology of Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus (MERS-CoV) Infection and Guidance for the Public, Clinicians, and Public Health Authorities, 2012–2013

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染の疫学と市民、臨床医、公共の保健機関に対するガイダンスに関する最新情報、2012~2013年

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV) のヒトへの感染は2012年9月に初めて報告された。2013年7月にWHOのInternational Health Regulations Emergency Committeeは、MERS-CoVを「国際的に脅威となる公衆衛生緊急事態」の基準には適合しないと決定したが、依然として「深刻で重大な懸念事項」である。2013年9月20日現在で、8カ国から計130例がWHOに報告されており、このうち58例(45%)は致死性であった。全例が直接的または間接的にサウジアラビア、カタール、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)の4カ国への旅行または居住と関連していた。確認されたMERS-CoV感染者の年齢の中央値は50歳(範囲:2~94歳)、男女非は1.6:1.0であった。18%は医療従事者に発生した。大半は入院が必要な重症の呼吸器疾患に関連したが、21%は軽度または無症状であった。アメリカでの症例は報告されていない。MERS-CoVの潜在的な動物の保有宿主、およびヒトへの伝染の機序は明らかではない。当初、MERS-CoVの人畜共通の起源は、高度な遺伝的類似性によりコウモリのコロナウイルスが示唆されたが、最近の一部の研究では、ラクダの血清学的データおよびコウモリの近縁ウイルスの同定が報告された。これまでの最大の症例シリーズ(47例)では、発熱:98%、咳:83%、息切れ:72%、下痢:26%、嘔吐:21%であり、慢性的な疾患(糖尿病、高血圧、心疾患、腎疾患等)があったのは96%だった。CDCは、2013年9月20日に、患者評価、症例定義、旅行および感染のコントロール、患者の在宅治療について、最新のガイダンスを発表した。CDCは、MERS-CoVと他の呼吸器の病原体に対する試験が同時に行われることが可能であり、別の呼吸器の病原体に対する陽性結果により、MERS-CoVの試験を必ずしも排除すべきではないことを示すために、ガイダンスを変更した。アメリカの医療提供者は、患者がアラビア半島の国または近辺からの旅行後14日以内に発熱および肺炎または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を形成した場合、MERS-CoV感染の評価を継続すべきであり、また患者がARDSまたは発熱および肺炎を示し、この地域からの最近の旅行者で発熱および急性呼吸器疾患のある人と密接な接触があった場合、MERS-CoV感染を評価すべきである。CDCは、重症急性呼吸器疾患の患者のクラスターは、一般的な呼吸器の病原体を評価し,地域および州の公衆衛生部門に報告することを推奨している。もし、疾患が解明されず、特にクラスターに医療提供者が含まれる場合は、(患者が旅行していなくても)、州および地域の保健部門と協議の上、MERS-CoVの試験を検討すべきである。CDCは、確認された症例の症例定義は変更しておらず、PCR法またはシーケンシングによる遺伝的確認が必要である。サウジアラビアへの旅行シーズンのピークは、7月~11月で巡礼の旅の時期と一致する。CDCは、サウジアラビア保健省からの今年の巡礼を延期すべき人(例、65歳以上、小児、妊婦等)に関する勧告を考慮することを奨励している。CDCは、引き続き、アラビア半島近辺への旅行者に対し、MERS-CoVを含む呼吸器疾患から身を守るため、予防手段を講じることを推奨している。MERS-CoVの感染制御に関して、最近、CDCは医療提供者および施設がMERS-CoVに備えるためのチェックリストを作成した。また、入院の必要のないMERS-CoV患者は、公共保健機関または医療提供者により、接触伝染性ではなくなったことが決定されるまで、自宅で適切に隔離されなければならない。無症候性の人は家庭外での活動を制限する必要はないが、症状が発現した場合は、直ちに医療機関に連絡し、事前に指示された注意に従う。今回のCDCの最新のガイダンスは、医療提供者および州/地域の保健部門がMERS-CoV感染の疑いのある症例への準備および対応のために役立つと考えられる。

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