ホームIMICライブラリMMWR抄訳2013年(Vol.62)漁船ウインチによる致死的および非致死的負傷-南洋エ・・・
2013/03/08Vol. 62 / No. 09
MMWR62(9):165-170
Vital Signs: Carbapenem-Resistant Enterobacteriaceae
腸内細菌科はヒトおよび動物の消化管に常在するグラム陰性菌の大きなファミリーで、市中感染症および医療関連感染症の主な原因である。腸内細菌科の細菌の中で、広範囲抗菌スペクトル性のカルバペネム抗菌剤に対する耐性はまれであったが、過去10年間の間に高死亡率を伴う治療困難な感染症の原因として、医療現場でのカルバペナム耐性の腸内細菌科の細菌(CRE)が報告されてきている。今回のレポートでは、アメリカにおけるCREの疫学および発生率の最近の変化を解説する。今回の評価の目的は、①救急病院中のCRE拡大の程度の調査、②アメリカにおけるカルバペナム耐性を持つ腸内細菌の臨床分離株の割合の推定、③CRE培養-陽性エピソードの特徴の究明とした。①に関しては、2012年上半期のNational Healthcare Safety Network(NHSN)を使用し、中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)およびカテーテル関連尿路感染(CAUTI)に関するサーベイランスを実施したすべての施設において、CRE分離株の報告を評価した。CREの定義は、イミペナム、メロペナム、ドリペナム非感受性のE.coli、Klebsiella pneumoniae、K.oxytoca、Enterobacter cloacae、E..aerogenesとした。②に関しては、NHSN(2011年)とその前身のNational Nosocomial Infection Surveillance system(NNIS、2001年)のデータ、およびSurveillance Network-USA(TSN、2001年および 2010年)のデータを使用した。③については、3ヶ所(アトランタ、ミネアポリス-セントポール、ポートランド)において、CDCのEmerging Infections Program(EIP)により実施された母集団をベースにしたCREサーベイランス・プロジェクトの一部として収集したデータを使用した。2012年の上半期において、CAUTIまたはCLABSIのサーベイランスを実施したアメリカの救急病院3918施設のうち、1回以上のCRE感染が報告されたのは4.6%(短期急性期病院:3.9%、長期急性期病院:17.8%)であった。腸内細菌科のCREの占める割合は、NNISの2001年のデータでは1.2%であったが、2011年NHSNのデータでは4.2%に増加した。分離されたCRE株は多様であったが、Klebsiella 種が1.6%から10.4%に増加した。TSNのデータでも2001年では0%であったが、2010年では1.4%に増加し、K. pneumoniaeが0%から5.3%に増加した。5ヶ月間のEIPプロジェクトの予備サーベイランスでは、64例の患者から72株のCREが分離され、アトランタ大都市圏(59株)、ミネアポリス-セントポール(10株)、ポートランド(3株)の順に多かった。CREは主にKlebsiella 種(49株)で、その他にEnterobacter種(14株)、E.coli(9株)が検出された。採取源は尿が89%、血液が10%であった。CRE培養-陽性のエピソードは、救急病院外での発症が多かったが(71株中の47株)、大半の分離株が医療曝露を受けた患者から単離されており(47株中の41株)、最近の入院は72%であった。以上、一般的な腸内細菌科の間でカルバペナム耐性菌は増加しており、ほとんどが医療施設での感染であった。
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