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MMWR抄訳

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2012/07/06Vol. 61 / No. 26

MMWR61(26):477-479
Congenital Transmission of Chagas Disease - Virginia, 2010 

Chagas病の先天性伝播-バージニア、2010年

Chagas病は寄生虫Trypanosoma cruziによる感染症であり、世界中に800~1100万人の患者が存在する。メキシコ、中央アメリカ、南アメリカの風土病地域においてChagas病の多くは昆虫(kissing bug)を媒介して伝播するが、輸血や臓器移植により感染する可能性もあり、Chagas病の母親から生まれた小児の1~10%では先天性感染もみられる。早期診断と治療は非常に有効だが、急性感染症はしばしば無症候性であり多くの患者は感染に気づかない。無治療で放置した場合感染は生涯持続し、慢性感染患者の20~30%は最終的に症状(多くの場合心筋症)が発現する。アメリカには慢性Chagas病を有する風土病地域からの移住者が約30万人存在し、この中には小児への感染の伝播リスクを有する生殖可能年齢の女性が含まれている。この報告は、CDCによって確定されたアメリカで初めての先天性Chagas病症例を提示する。2010年8月、最近ボリビアからアメリカに移住した31歳の女性が胎児水腫を理由として妊娠29週で帝王切開により男児を出産した。母親から慢性疾患の報告はなかった。新生児のApgarスコアは5分後9(正常7~10)、出生体重は1,840gであり、腹水・胸水・心膜液の貯留を認めた。血清学的検査にて各種ウイルスは陰性であった。敗血症の疑いでアシクロビルとアンピシリン、ゲンタマイシンを5日間投与した結果、臨床状態は改善した。血液培養は陰性であった。出産から2週後、母親は以前のボリビアでの妊娠時にChagas病と診断されたが、抗トリパノソーマ治療を受けなかったことを報告した。これを受けて男児の末梢血を再検査し、血液塗抹検査にてT.cruzi錐鞭毛型を検出した。血清学的検査は抗T.cruzi抗体陽性であり、PCR法もT.cruzi陽性であった。心エコー所見では心膜液の貯留以外異常はみられず、神経学的所見も正常であった。ベンズニダゾールの60日間投与を行い、腹水などは消退した。生後10ヶ月時、PCR法でT.cruziを認めず血清学的検査でも抗T.cruzi抗体陰性であったことから、治癒と判定した。母親は血清学的検査にてChagas病と確定されたが、感染症の徴候や症状はみられず心エコー所見も正常であった。医療従事者はChagas病に関する意識を高めることが重要である。

References

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