ホームIMICライブラリMMWR抄訳2011年(Vol.60)“bath salts”として市販されている薬物使・・・
2011/05/20Vol. 60 / No. 19
MMWR60(19):624-627
Emergency Department Visits After Use of a Drug Sold as “Bath Salts” - Michigan, November 13, 2010-March 31, 2011
2011年2月1日、Michigan Department of Community Health(MDCH)は“bath salts”として市販されている非合法の合成麻薬の使用を原因とした疾病に関してChildren’s Hospital of Michigan Poison Control Center(PCC)に連絡した。PCCは、同日のMDCHからの連絡前に急性中毒の心血管・神経徴候を有する多数の患者がMarquette郡の救急診療部(ED)を受診したことを知ったとMDCHに伝えた。この報告は、MDCHとPCCによるその後の調査結果をまとめたものである。“bath salts”は入浴時に使用する通常の美容用バスソルトではなく、薬物乱用を目的として使用する合成麻薬である。3,4-メチレンジオキシピロバレロン(MDPV)や4-メチルメトカチノンといった刺激成分を含んでおり、違法の麻薬用品販売店やコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、インターネットなどで購入できる。調査の結果、2010年11月13日~2011年3月31日に“bath salts”の乱用によりミシガン州のEDを受診した35例(男性19例[54%]、20~55歳[中央値28歳])を同定した。24例(69%)は薬物乱用歴(自己申告)、16例(46%)は精神疾患(双極性障害、統合失調症、うつ病など)の既往歴(診療記録で確認)があり、6例で“bath salts”関連の可能性のある自殺念慮や自殺企図を認めた。中毒の徴候・症状として32例(91%)は神経症状、27例(77%)は心血管症状、17例(49%)は精神症状があり、特に激越(23例[66%])、頻拍(22例[63%])、妄想/幻覚(14例[40%])の発現が多かった。17例が入院し、1例はED到着時に死亡した。22例(63%)は“bath salts”を注射、9例(26%)は吸引、4例(11%)は摂取していたが、曝露経路と症状の重症度との関連はみられなかった。中毒徴候に対する治療には一般にベンゾジアゼピン(ロラゼパムなど)が使用され、鎮静が得られない場合には抗精神病薬が使用された。MDCHとPCCは調査を継続しており、ミシガン州では2010年11月13日から2011年5月16日までに“bath salts”使用後のED受診者が65例報告されている。今後、有害な“bath salts”を市場から排除するために緊急の公衆衛生対策を実行する必要がある。新たな健康問題の迅速な発見には、公衆衛生局・医療提供者・中毒管理施設・警察の連携が重要であることが示唆された。
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