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MMWR抄訳

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2011/03/11Vol. 60 / No. 9

MMWR60(9)276-278
Japanese Encephalitis in Two Children - United States, 2010

日本脳炎の小児2例-アメリカ、2010年

日本脳炎(JE)はアジアと西太平洋でみられる蚊媒介疾患である。アメリカでは海外旅行者や海外居住者においてまれに診断され、1992年(アメリカでJE ワクチンが初めて承認)~2008年の日本脳炎診断例は4例のみである。この報告は、2010年にアメリカで診断され、CDCに報告された日本脳炎小児2 症例の臨床経過などをまとめたものである。1例はアメリカ生まれの11歳女児であり(両親もアメリカ生まれ)、2010年7月18日に2日間続く発熱、頭痛、悪心、嘔吐、頸部痛を主訴としてネバダ州の病院に入院した。患者は6月21日~7月12日にフィリピンの親戚を訪れており、多数の蚊に刺されていた。入院時に発熱、末梢白血球数の増加、脳脊髄液(CSF)で髄液細胞増加を認めた。虫刺され跡があったため細菌性髄膜炎を疑い抗生物質の静注を行ったが、7 月19日の夜に傾眠状態となり、その後、急性肺水腫、徐脈、低血圧などを発症し、7月21日(発症から5日後)に死亡した。剖検所見では脳組織に髄膜脳炎を示す組織学的変化を認め、免疫染色で日本脳炎ウイルス(JEV)陽性、RT-PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)でJEVのRNAを検出した。また7月 18日に採取したCSFはJE特異的IgMと中和抗体が陽性であった。他の1例は難民の6歳男児であり、2010年7月14日に2日前(タイからアメリカへの渡航中)に発現した発熱、傾眠、頭痛、嘔吐、歩行拒否を主訴としてテキサス州の病院に入院した。入院時に発熱と項部硬直、末梢白血球数の増加、CSF で髄液細胞増加を認め、頭部MRI所見では左前頭葉に神経嚢虫症と一致する病変、左視床に異常シグナルを認めた。その後2日間に意識が低下し発語が減少した。患者の臨床症状は神経嚢虫症と異なるため重感染を疑い、7月17日(発症6日目)に採取したCSFでJEV特異的IgMと中和抗体を認めた。神経症状は24日間の入院中に消退した。神経嚢虫症に対してアルベンダゾール(+コルチコステロイド)の21日間投与を行った。JEが風土病となっている国に最近いたことのある急性神経学的感染症患者の診察時には、鑑別診断にJEを考慮するべきである。またJEが風土病となっている国々への旅行者に対してはJEのリスクと個人的な防蚊対策の重要性を忠告する必要があり、旅行する季節・旅行先・滞在期間、計画している行動に基づき感染リスクが最大と思われる旅行者にはJEワクチンの接種を考慮するべきである。

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