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MMWR抄訳

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2010/12/10Vol. 59 / No. 48

MMWR59(48):1577-1580
Nonpolio Enterovirus and Human Parechovirus Surveillance - United States, 2006-2008

非ポリオエンテロウイルスとヒトパレコウイルスのサーベイランス-アメリカ、2006~2008年

ピコルナウイルス科ファミリーに属するエンテロウイルスは、軽度の呼吸器症状から無菌性髄膜炎や脳症といった重症症状まで様々な症状を引き起こす可能性がある。非ポリオエンテロウイルスには約100種類の血清型が認識されており、そのうち以前エンテロウイルスとして分類されていたエコーウイルス22、23はピコルナウイルス科ファミリーだが属が異なるヒトパレコウイルス(HPeVs)として最近再分類された。この報告は、2種類の検査室ベースサーベイランスシステム(National Enterovirus Surveillance System[NESS]、National Respiratory and Enteric Virus Surveillance System[NREVSS])のデータに基づき、2006~2008年の非ポリオエンテロウイルスとHPeVの検出状況について述べたものである。 2006~2008年には49州からエンテロウイルス・HPeVの検出例が報告された。NESSには全体で1,632例の報告があり、このうち1,103 例(68%)はエンテロウイルスのピークシーズンである7月~10月に報告された。年齢が判明した1,415例(87%)は生後1ヶ月未満~79歳(平均 9歳、中央値2歳)であり、660例(47%)は1歳以下であった。検出源となった検体は脳脊髄液が最も多く(743/1,468例[51%])、次が咽喉-鼻咽頭検体(324例[22%])、便-直腸拭い液(268例[17%])、組織検体(133[10%])であった。血清型は1,171株(72%) で特定され、これらウイルス株の地域別検出率は南部36%、中西部32%、西部19%、北東部13%であった。またこのうち54%は、5種類の最も一般的なエンテロウイルス血清型(コクサッキーウイルスB1[CVB1]、エコーウイルス6、エコーウイルス9、エコーウイルス18、コクサッキーウイルス A9)が占めていた。HPeV1型はこの期間中の検出率が最も高い15種類のエンテロウイルス・HPeVの中に入っていたが、検出率は1.8%(21例) であった。2007年と2008年に最も優勢であった血清型はCVB1であり、それぞれ全検出株の24%、19%を占めた。CVB1は、2007年のアメリカにおける重大な新生児感染症のアウトブレイクに関与した。NREVSSのデータによると、この期間中に報告された108,798例中3,192例 (3%)がエンテロウイルス陽性であり、陽性率はやはり7月~10月が最も多かった。エンテロウイルスおよびHPeVの循環傾向を理解することは医師がこれら感染症の検査の実施時期を決定する上で有用であり、またデータのより適時な報告は公衆衛生局がこれらウイルスの関与したアウトブレイクを認識するのに有用と考える。

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