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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2010年(Vol.59)ヒト狂犬病-バージニア、2009年

MMWR抄訳

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2010/10/01Vol. 59 / No. 38

MMWR59(38):1236-1238
Human Rabies - Virginia, 2009

ヒト狂犬病-バージニア、2009年

2009 年10月28日、Virginia Department of Health(VDH)はバージニア州における狂犬病疑い例(42歳男性)をCDCに報告した。この報告は、患者の曝露歴と臨床経過、治療、曝露後予防 (PEP)を必要とする密接な接触者の同定活動について述べる。本症例は2009年10月23日に悪寒とのぼせが発現し、翌朝に脚の違和感、その晩には1 時間に1回の自然射精、尿失禁、左下肢に放散される背部痛が発現した。10月26日に救急診療部(ED)を受診したが、腰背部痛と診断され帰宅した。その晩シャワー中などに吐き気を催したため10月27日にプライマリーケア医を受診し、狂犬病が疑われたためEDを再受診した。患者は発症の約3ヶ月前にインドに旅行したことを報告した。頻拍と血圧上昇を認めたが発熱はなく、入院して髄膜脳炎に対する経験的抗菌・抗ウイルス治療を開始した。しかし入院から24 時間以内に叫びや多量の唾液分泌を伴う吐き気が著明となり指示に従うことができなくなり、頻拍と血圧上昇も悪化したためICUに搬送された。痙攣が発現して心停止が持続し人工呼吸管理が必要となった。10月28日からMilwaukeeプロトコール(ケタミン注入を含む)を開始した。10月29日、項部皮膚生検検体において直接蛍光抗体法により狂犬病ウイルスが検出され、RT-PCR法によりインドのイヌで一般的にみられる変異ウイルスタイプであることが確認された。患者は11月20日に死亡した。家族は、患者がインド旅行時にイヌと偶然遭遇していたことを報告した。公衆衛生局は10月29日に患者の関係者174名について狂犬病曝露の評価を行い、32名(18%)にPEPを開始した。PEPによる有害反応やさらなる狂犬病患者の報告はない。本症例は、 2000年以降にアメリカで報告された海外で感染した狂犬病の7例目である。PEPでの投与によって予防できない場合、狂犬病ウイルスは致死率が非常に高い急性進行性ウイルス性脳炎を引き起こす。したがって狂犬病のリスク、特に狂犬病が風土病となっている国々への渡航に関連した狂犬病曝露のリスクについて一般市民の意識を高め、曝露した可能性がある場合は迅速にPEPを開始することが重要である。

References

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