アメリカンインディアン/アラスカ原住民における2009年パンデミックインフルエンザA(H1N1)関連死－12州、2009年

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MMWR抄訳

2009/12/11Vol. 58 / No. 48

MMWR58(48):1341－1344
Deaths Related to 2009 Pandemic Influenza A (H1N1) Among American Indian/ Alaska Natives － 12 States, 2009

アメリカンインディアン/アラスカ原住民における2009年パンデミックインフルエンザA(H1N1)関連死－12州、2009年

オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの先住民は2009年パンデミックインフルエンザA(H1N1)ウイルス感染症による入院率と死亡率が3～8倍高いことが明らかになっている。アメリカでは10月に2州(アリゾナ、ニューメキシコ)でアメリカンインディアン/アラスカ原住民(AI/AN)における H1N1関連死亡者数の多さが確認され、さらに全国レベルでの人種/民族別報告も不完全であったことから、12州(アラバマ、アラスカ、アリゾナ、ミシガン、ニューメキシコ、ノースダコタ、オクラホマ、オレゴン、サウスダコタ、ユタ、ワシントン、ワイオミング)の保健局、Council of State and Territorial Epidemiologists、種族疫学センター、Indian Health Service、CDCの代表者から成る学際的な作業部会を設立し、州のサーベイランスデータを収集し死亡率を比較することによってAI/AN集団におけるH1N1インフルエンザ死の負担を評価した。これら12州全体における4月15日～11月13日のH1N1関連死亡者数は426例であり、このうち42 例(9.9%)がAI/ANであった。H1N1関連死亡率(10万人あたり)はAI/AN群が3.7例、その他の人種/民族群が0.9例であり、AI /AN群はその他の人種/民族群に比べて死亡率が4倍高かった。AI/AN群の年齢別死亡率は0～4歳が3.5例、5～24歳が1.1例、25～64歳が 4.2例、65歳以上が7.2例であり、全ての年齢層で他の人種/民族群(それぞれ0.5、0.4、1.1、1.4例)よりも高かった。H1N1関連死亡者におけるハイリスク疾患(インフルエンザが併発しやすい慢性疾患)の有病率はAI/AN群81.0%(糖尿病:45.2%、喘息:31.0%)、その他の人種/民族群77.6%(糖尿病:24.0%、喘息:14.1%)であった。この死亡率較差の理由は不明だが、一因としてAI/ANにおけるハイリスク疾患の有病率の高さ、貧困状態(不良な住環境など)、医療施設への受診の遅れなどが関与している可能性がある。今後、インフルエンザ重症化の可能性や抗ウイルス薬の適時使用に関する現在の勧告に対するAI/ANおよびその健康管理者の意識を高めていく必要がある。またAI/ANs集団への2009年 H1N1インフルエンザ1価ワクチン接種を促進するための取り組みを拡大するべきである。

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