発疹熱リケッチア感染症のアウトブレイク－テキサス州オースティン、2008年

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MMWR抄訳

2009/11/20Vol. 58 / No. 45

MMWR58(45):1267－1270
Outbreak of Rickettsia typhiInfection － Austin, Texas, 2008

発疹熱リケッチア感染症のアウトブレイク－テキサス州オースティン、2008年

発疹熱は発疹熱リケッチア病原体によるノミ媒介性リケッチア疾患であり、発熱、頭痛、寒気、嘔吐、悪心、筋肉痛および発疹などの症状を示す。テキサス州南部は発疹熱を風土病とするが、州中央部のオースティンでは過去10年間において2例しか報告されていない。2008年8月8日、Austin/Travis County Department of Health and Human Services(ATCDHHS)からTexas Department of State Health Services(TDSHS)へ発疹熱の血清学的所見を示す14例に関して報告があり、その後、12月1日までに計53例の報告があった。うち確診例は 33例(62%)、1例がPCR法およびDNA塩基配列分析によりR.typhi感染症と確認された。発症時期は 3～11月、6月が最も多く(7例、21%)、5～8月に70%の症例が集中していた。患者は年齢:37(7～64)歳、男性55%、女性45%、白人 97%、黒人3%であり、確診例は主にオースティン中央部に分布していた。報告された症状は発熱(100%)、倦怠感(76%)、頭痛(73%)、寒気 (61%)、筋肉痛(61%)、食欲不振(58%)、悪心(52%)、発疹(46%)、嘔吐(42%)、下痢(36%)が多かった。死亡例は認めなかったが、確診例の73%が入院し、27%はICUに入院していた。抗生物質が処方された症例は51%(17例)のみで、ドキシサイクリンは15例に投与され、発症から投与までは8(1～19)日であった。また、血液化学検査にて肝機能障害を示した症例は70%、腎機能障害は21%、血小板減少は24%、貧血 24%、白血球増多および減少はそれぞれ6%の症例に認められた。確診例12例の退院後追跡調査では肝機能障害が持続する例が多く認められた。CDCおよびATCDHHSによる環境的調査(8月12～19日)では、確診例20例の自宅にてペット(n=26)、自宅周辺の野生動物(オポッサム、アライグマ、ネズミ、n=31)の血液検体が採取され、IgG抗体はイヌ(n=4)、ネコ(n=3)、オポッサム(n=12)が陽性、33検体が抗体力価＝1:32 を示した。このアウトブレイクを受けてATCDHHSはネット上に警告を出したが、2009年も9月14日の時点で24例[37(3～67)歳、発症時期:4月29日～7月29日、入院率:54%]が報告されており、今後もウェブをベースとしたキャンペーンを強化していく予定である。

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