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MMWR抄訳

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2009/06/12Vol. 58 / No. 22

MMWR58(22):615-618
Outbreak of Cryptosporidiosis Associated with a Splash Park - Idaho, 2007

あるスプラッシュパークに関連したクリプトスポリジウム症のアウトブレイク-アイダホ州、2007年

2007 年8月6日、アイダホ州のCentral District Health Department(CDHD)は7月26日にある公営のスプラッシュパークでのパーティーに参加した後にクリプトスポリジウム症と思われる水性下痢が発現した8例の患者の報告を受けた。Cryptosporidium属は下痢性疾患を引き起こす原虫であり、以前にもスプラッシュパークでリクリエーションによる水関連疾患のアウトブレイクを引き起こしたことがある。この報告は、同パークで発生したクリプトスポリジウム症のアウトブレイクに関する調査結果をまとめたものである。7月26日のパーティー参加者20例を対象としたインタビューでは、水性下痢が発現した8 例を含む12例で8月1~6日に消化器症状の発現を認めた。12例全例が水しぶきに曝露しており、6例はその近くの水飲み器の水に曝露していた。さらなる症例を同定するため、CDHDとIdaho Department of Health and Welfare(IDHW)は7月23日~8月10日に同パーク内のパビリオンで行われた予約者限定パーティーへの参加者を対象とし、電話調査を行った。調査した154例中45例はクリプトスポリジウム症と一致する臨床症状を示し、5例は免疫蛍光法(IFA)にて便検体がCryptosporidium陽性(確定例)であった。これら50例中26例(52%)は男性、年齢中央値は7歳(生後10ヶ月~58歳)、発症日は7月28日~8月20日、曝露から発症までの期間中央値は6日(1~14日)であった。調査時に症状が消退していた29例における罹病期間中央値は3日間(1~9日間)であった。報告された症状は下痢(86%)、嘔吐(64%)、腹部痙攣(62%)、嘔気(62%)、発熱(52%)などが多く、入院や死亡の報告はなかった。疾患の危険因子を検討するためレトロスペクティブコホート分析を行った結果、患者は非罹患来園者よりも水しぶきと隣接した水飲み器の水への曝露が多いことが明らかになった。これらの水しぶきと隣接した水飲み器より採取した水検体は、PCR-RFLP分析でCryptosporidium hominis陽性であった。このスプラッシュパークは8月17日に閉鎖され、紫外線処理システムの取り付け、衛生設備の改善、来園者への注意事項(水しぶきを飲まないことなど)の掲示などを行った後、2008年に再開された。一般市民への教育的努力と高度な消毒技術、下痢患者の入場制限、適切な衛生設備などを要求する規制の制定により、スプラッシュパークでのレクリエーションによる水疾患のリスクは低下する可能性がある。

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