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MMWR抄訳

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2009/04/17Vol. 58 / No. 14

MMWR58(14):357-362
Wild Poliovirus Type 1 and Type 3 Importations - 15 Countries, Africa, 2008-2009

野生型ポリオウイルス1型、3型の輸入-アフリカ15ヶ国、2008~2009年

1988 年のGlobal Polio Eradication Initiative設立以降、2006年までに野生型ポリオウイルス(WPV)2型感染の土着伝播は世界中で遮断され、WPV1型・3型感染の土着伝播も4ヶ国(アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタン)以外世界中で遮断された。この土着伝播制御の成功にもかかわらず、2002~2006年には以前ポリオフリーであったアジアとアフリカの20ヶ国でナイジェリアから、アフリカの3ヶ国でインドからWPV1が輸入された。アンゴラ、チャド、コンゴ民主共和国、ニジェール、スーダン以外の全ての国々は伝播制御の取り組みによって2007年末までにこれらの輸入WPV1伝播を遮断したが、アフリカでは2008~2009年に再度多数のWPV輸入がみられている。この報告は、アフリカ15ヶ国におけるWPV輸入の現状と対応について報告する。2008 年1月~2009年3月、アフリカの15ヶ国(中西部:ベナン、ブルキナ・ファソ、チャド、コートジボワール、ガーナ、マリ、ニジェール、トーゴ、角部: エチオピア、ケニア、スーダン、ウガンダ、中南部:アンゴラ、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国)で32件のWPV1型・3型の輸入イベントが起こり、96例がポリオを発症した。輸入WPV32件のうち29件はナイジェリアから、3件はインドからの直接的・間接的輸入であり、それぞれ68例、28例がポリオを発症した。これらの国々において、生後6~59ヶ月の非ポリオ急性弛緩性麻痺(NPAFP)小児における2008年の経口ポリオワクチン3回以上接種中央率は74%(54~90%)であった。また最初の症例の麻痺発現から検査によるポリオ確定までの日数中央値は31.5日間(10~61日間)、検査確定から大規模な予防接種活動開始までの期間中央値は27.5日間(1~91日間)であり、2002~2005年のポリオ再燃時よりそれぞれ51日間、37日間とかなり短かった。2008年にはアフリカの12ヶ国で補足的予防接種活動(SIA)が同時に実施された。また2009年に新たなポリオ症例が発見されたケニアとウガンダでは3月に近隣の国々と同時にSIAを実施し、4月と5月にもSIA実施を計画している。2009年3月24日現在、輸入による多数のアウトブレイクの発生は続いており、以前ポリオフリーであったアフリカの5ヶ国(アンゴラ、チャド、コンゴ民主共和国、ニジェール、スーダン) では12ヶ月以上WPV伝播が持続している。WPVのさらなる拡大の制限とアウトブレイクの予防には高感度のAFPサーベイランスシステムとSIAによる迅速な対応が重要である。

References

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