外来血液透析ユニットにおけるC型肝炎ウイルスの伝播－ニューヨーク、2001～2008年

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MMWR抄訳

2009/03/06Vol. 58 / No. 8

MMWR58(8):189－194
Hepatitis C Virus Transmission at an Outpatient Hemodialysis Unit － New York, 2001-2008

外来血液透析ユニットにおけるC型肝炎ウイルスの伝播－ニューヨーク、2001～2008年

2008 年7月、New York State Department of Health (NYSDOH)はニューヨーク市のある血液透析ユニットから過去6ヶ月間に抗C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陰性から陽性へセロコンバージョンした血液透析患者3例の報告を受けた。この報告を受け、NYSDOHはこれら患者と透析室スタッフへのインタビュー、診療記録のレビュー、疫学調査、実際の血液透析治療や感染制御対策、HCVサーベイランス活動の評価などを行った。この報告は、その調査結果をまとめたものである。疫学調査は2008年7月1日現在、同ユニットで血液透析を受けていた全162例を対象とした。診療記録などから初診時のHCV感染状態が確認できた110例(68%)のうち20例 (18%)は慢性HCV感染症、90例(82%)は抗HCV陰性であった。この抗HCV陰性90例のうち、報告された3例を含めた9例(10%)が 2001～2008年に抗HCV抗体陽性となっていた。系統発生学的・疫学的調査の結果、これら9例のうち2005～2008年にセロコンバージョンした 4例でそれぞれの感染源4例(2002年にセロコンバージョンした1例、慢性HCV感染症2例、初診時の抗HCV状態不明1例)が明らかになった。これら感染症例とそれぞれの感染源症例は透析日の多くが一致していた(59～121日)。血液透析ユニットの調査では、感染防御対策上多くの欠陥が確認された。まずこの血液透析ユニットは抗HCV陽性結果の確認試験やHCV感染状態変化の患者への通知、HCVセロコンバージョンの地域保健所への報告を行っていなかった。また透析患者におけるALT値の測定や抗HCV検査の頻度はCDCの勧告よりも少なかった。さらに透析室内および医療機器などの清掃・殺菌が不十分であり、医療スタッフは標準的な感染防御対策(手指衛生など)を実行していなかった。この血液透析ユニットではその後も感染防御対策の改善が進まなかったため、2008年8月14日にNYSDOHは全ての患者を即刻他の施設に転院させるよう指導し、全患者が翌日転院した。さらに2005年以降のHCV伝播のエビデンスに基づいて2004年1月23日(感染制御対策に欠陥がみられなかった最後の施設調査日)以降にこの血液透析ユニットで1回以上治療を受けた全ての患者に調査報告書を郵送し、HCVおよび他の血液媒介病原菌(B型肝炎ウイルス、HIV)の検査を受けるよう勧めた。2009年1月11日現在、新たなHCVセロコンバージョン例は報告されていない。血液透析施設はHCV伝播のリスクを低下させるため、感染防御対策や包括的HCVサーベイランスに関するCDCの勧告を遵守する必要がある。

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