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MMWR抄訳

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2008/09/19Vol. 57 / No. 37

MMWR57(37):1015-1018
Thallium Poisoning from Eating Contaminated Cake - Iraq, 2008

汚染ケーキの摂食によるタリウム中毒-イラク、2008年

タリウムは以前殺鼠剤として利用された無臭、無味の重金属であり、現在も一部の製造過程(電子工業、調剤、ガラス)で使用されている。急性タリウム中毒では最初に嘔吐や急性腹痛といった消化管症状・徴候が発現する。摂取後数時間は他の原因による急性消化管毒性と区別できないが、数日以内に重金属毒性特有の神経症状(下肢から上行性の疼痛や筋力低下など)がしばしば発現する。2008年1月22日、イラクのバクダッドにおいて2家族の全12名中10名 (2~40歳)が消化管症状(腹痛、嘔吐、嚥下困難)発現のため医療施設を受診した。この2家族は1月21日に同じケーキを食べており、その摂取から 12~72時間後(中央値:24時間)に症状が発現した。さらにそのうち5例はその後4日間に神経症状・徴候(特に下肢における疼痛、異常感覚、脱力感) が発現した。1月27日、前日提出された患者由来検体とケーキのサンプルよりタリウムが検出され、1月30日には11歳の小児が死亡した。生存9例は2月 1日にタリウム中毒の解毒薬であるプルシアンブルー(ヘキサシアノ鉄酸塩)の投与を受けるためヨルダンのアンマンに搬送されたが、ヨルダン到着直後に2歳の小児が死亡した。生存8例はプルシアンブルーの投与を受けたが、すでに昏睡状態であった2例はその後死亡した。生存6例はその後30日間に脱毛がみられ、そのうち5例は下肢の筋力低下や痙縮が発現した。10例のうち4例が死亡した。Jordan Field Epidemiology Training Programは、WHOの要請によりこの患者集団を調査した。予備的調査結果よりこの中毒が故意であることが明らかになり、法執行局は犯罪事件として調査を開始した。疼痛性末梢神経障害の突発と脱毛がみられる患者では、タリウム中毒の可能性を考慮する必要がある。

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