ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)野生型およびワクチン由来ポリオウイルスの研究所サー・・・
2008/09/05Vol. 57 / No. 35
MMWR57(35):967-970
Laboratory Surveillance for Wild and Vaccine-Derived Polioviruses - Worldwide, January 2007-June 2008
Global Polio Eradication Initiativeを支持するために1988年に創設されたGlobal Polio Laboratory Network(GPLN)は、100ヶ国145施設から構成されWHOの全6管轄地域で活動している。GPLNは急性弛緩性麻痺(AFP)患者および AFP患者への健常接触者の便検体および汚水検体からのポリオウイルスの分離・分析だけでなく、ウイルス伝播パターンに基づき予防接種活動を標的化するための分離WPVのヌクレオチド配列(ウイルスカプシド蛋白質VP1領域;900~906ヌクレオチド)決定、経口ポリオウイルスワクチン(OPV)接種率の低い地域でのポリオのアウトブレイク発生や原発性免疫不全患者で持続感染を起こすVDPVの定期的な監視など行っている。本報告では2007年1月~2008年6月におけるGPLN活動とワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)サーベイランスの結果などを紹介する。GPLNはこの期間中にAFP患者由来便検体234,521検体を検査した。この作業量は前18ヶ月間に比べ12%増加した。これら検体の90%はポリオが風土病となっているWHO地域 (アフリカ、地中海東部、東南アジア)から提出された。またGPLNはポリオウイルス同定までの期間を短縮するため、2008年6月までにポリオが風土病となっている地域の44施設でPCR法とELISA法を用いた新たなアルゴリズムを導入した。このような新たな検査法導入により、検体受け取り後14日以内の分離結果報告率は地中海東部地域で36%(2007年)から95%(2008年)、東南アジア地域で36%から84%に増加した(アフリカ地域では変化なし)。2007年1月~2008年6月の期間に野生型ポリオウイルス(WPV)は16ヶ国のAFP患者由来便検体から分離され、WPV1分離菌 1,470株中1,257株(86%)、WPV3分離菌2,518株中2,444株(97%)はポリオが風土病の4ヶ国(アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタン)で検出された。またこの期間中VDPVとしてSabin関連分離菌株8,478株がAFP患者から分離され、そのうち循環VDPV はミャンマー(8株)、ナイジェリア(207株)、免疫不全関連VDPVはロシア連邦、ベラルーシ、イラン(各1株)、不確定VDPVは中国(4株)などで分離された。GPLNデータはポリオ根絶戦略の構想に有用であり、ポリオ患者の確定や循環ポリオウイルスの血清型分布決定、ポリオ根絶認証のための WPVおよびVDPV欠如の最終的証拠などとしても利用されている。
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