ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)西ナイルウイルス活性-アメリカ、2007年
2008/07/04Vol. 57 / No. 26
MMWR58(26):720-723
West Nile Virus Activity - United States, 2007
西ナイルウイルス(WNV)はアメリカにおけるアルボウイルス脳炎の主な原因であり、1937年にアフリカで初めて発見された。西半球では1999年にニューヨーク市で初めて認められ、その後、熱性疾患や神経系疾患の季節的流行を引き起こしている。今回、2007年にCDCに報告されたWNVサーベイランスデータがまとめられ、ヒトまたは動物へのWNV感染は過去に感染報告のなかった19郡に拡大し、過去に報告のあった1,148郡に再発生した。2007年におけるヒトWNV疾患は44州の775郡(アメリカ全体3,142郡の25%)から合計3,630症例が報告され、うち1,227例(34%)はWNV神経侵襲性疾患(WNND)、2,350例(65%)は西ナイル熱(WNF)、53例(1%)は不特定疾患であった。また、西ナイルウイルス血症ドナー推定例(PVD)はスクリーニングにより352例確認されている[無症候性:281(80%)、WNND発症例:5(1%)、WNF発症例:66(19%)]。WNND発生率はアメリカ全体では10万人あたり0.4(2006年:0.5、2005年:0.4、2004年:0.4)であり、中西部の郡にて高く、ノースダコタ州(10万人あたり7.7例)、サウスダコタ州(6.2)、ワイオミング州(4.6)、モンタナ州(4.0)、コロラド州(2.2)の順であった。WNND発生率のピークは8月第1週であり、1,086例(89%)が7~9月に報告されており、この傾向は過去7年間と一致していた。WNND患者1,227例の年齢中央値は57歳(1ヶ月齢~97歳)、729例(59%)が男性であった。入院例は1,089例(89%)、117例[10%、77(43~96)歳]が死亡し、疾患分類は脳炎:765(62%)、髄膜炎:452(37%)、急性弛緩性麻痺:63(5%)であり、うち53例は併発例であった。また2007年、WNVに感染して死亡した鳥類は35州315郡およびプエルトリコにて計2,182羽報告され、うち28州157郡およびプエルトリコではヒトでの感染は報告されていない。カラスが1,690羽(77%)を占め、1999年以来、WNV感染は321の鳥類に確認され、ヒト以外の哺乳類での感染は507件報告された[ウマ:471(93%)、その他:36(7%、リス:27、イヌ:5、種不明:4)]。WNVが陽性の蚊プールは39州371郡、ワシントンDCおよびプエルトリコにて計8,215報告され、うち6,286(77%)はWNV伝染の主なベクターであるアカイエカ、ネッタイイエカなどのCulex属であり、ピークは8月中旬であった。これらの調査結果はサーベーランスの継続、蚊のコントロール、蚊刺されからの防護の推進、ヒトWNVワクチンを含んだ追加予防戦略の研究の必要性が明らかになった。現在、WNVワクチンはウマに対し認可され、ヒトでは第2相試験が行われている。
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