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MMWR抄訳

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2008/05/30Vol. 57 / No. 21

MMWR57(21):577-580
Detection of West Nile Virus in Blood Donations - Puerto Rico, 2007

血液ドナーにおける西ナイルウイルスの検出-プエルトリコ、2007年

米国において西ナイルウイルス(WNV)は1999年に初めてヒトで検出され、その後中央および南アメリカとカリブ海域諸島の国々に拡大した。WNVは重篤な臨床疾患を発症させる可能性のある蚊媒介ウイルスであり、蚊以外の感染経路として輸血、経胎盤感染、臓器移植などが報告されている。2007年7月19日、プエルトリコの赤十字社はPuerto Rico Department of Health(PRDH)に核酸増幅法(NAT)によるスクリーニングでWNV陽性であった輸血ドナー3例を報告した。これら3例はプエルトリコで初めて確認されたヒトWNV感染症例であった。この報告ではこれら3例の調査結果とプエルトリコでのWNV伝播に関する最近の各種サーベイランス結果を紹介する。WNV陽性であった輸血ドナー3例は40歳女性(献血日:2007年6月22日)、33歳女性(2007年7月5日)、22歳男性(2007年7月12日)で、2例は献血前2週間に病気にかかっておらず、1例は献血日に頭痛を報告したが発熱や他の症状はみられなかった。3例とも献血前2週間にプエルトリコ外や、以前動物でのWNV伝播が報告されたプエルトリコ内の地域へ旅行していなかった。これら3例由来のWNV-NAT陽性血液は隔離し、輸血には使用しなかった。2002年に開始されたヒトの神経侵襲性WNV疾患に関する全島医師ベース受動的サーベイランスシステムでは、ヒトのWNV疾患は検出されていない。一方、2006年~2007年にCDCがプエルトリコ北東部で続けていたセンチネル鶏のサーベイランスでは2007年6月に特異的抗WNV中和抗体が検出され、活発なWNV伝播が示唆された。これを受け、CDCとPRDHはヒトWNV疾患のサーベイランス範囲を拡大し強化した。2007年7月1日~12月31日、強化サーベイランスによりWNVおよびデング熱の検査のため1250例の血清検体が提出されたが、WNV陽性検体(PCR法)はなかった。しかし2007年9月には脳炎の馬より採取した剖検後脳組織および死亡鳥類にてWNV感染が検出され、プエルトリコ南西部でのWNV伝播が確認された。プエルトリコにおけるWNVによって脅かされる健康状態のモニタリングと評価のためには、医師の意識や実施中のサーベイランス、教育活動の強化が必要である。

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