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MMWR抄訳

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2008/02/22Vol. 57 / No. 7

MMWR57(7):169-173
Multistate Measles Outbreak Associated with an International Youth Sporting Event - Pennsylvania, Michigan, and Texas, August-September 2007

国際青少年スポーツイベントに関連した多州における麻疹のアウトブレイク-ペンシルベニア、ミシガン、テキサス、2007年8月~9月

麻疹は感染力の強いウイルス性疾患である。米国ではワクチン接種率が高いため風土病ではなくなっているが、米国住民間で輸入ウイルスによる発症やアウトブレイクの発生が続いている。2007年8月17‐26日、ペンシルバニア州での国際青少年スポーツイベント(参加・観戦者:約265,000人)開催中、日本チームの12歳男児(発端者)が麻疹を発症した。発端者は感染性を有する間(皮疹発現の5日前‐4日後)イベントに参加していたことから、州および地域の保健衛生局はCDCとともにアウトブレイクの調査を開始した。この報告は、その調査結果をまとめたものである。日本チームは8月13日にミシガン州デトロイトに到着し、その後メリーランド州ボルティモアを経由してペンシルベニア州へ来た。発端者の同胞は2007年7月下旬に日本で麻疹様疾患を発症しており、発端者は8月11日に咽喉痛と倦怠感、16日に皮疹や咳といった麻疹特有の症状が発現した。血清検体は麻疹特異的IgM抗体陽性で、尿培養にて麻疹ウイルス(遺伝子型D5)を検出した。Pennsylvania Department of Health(PADOH)は麻疹発現の報告を受け、競技参加者を初めとするイベント関係者481名の予防接種記録をレビューし、予防接種歴や麻疹の既往歴が確認できなかった(あるいは1957年以前の出生者)189名に麻疹・ムンプス・風疹ワクチン(MMR)の接種か血清学的検査を行った。2例目は日本で8月12日に発端者と接触した12歳の男児であり、8月15日に競技観戦のため米国に到着し、8月20日に咽喉痛と発熱、23日に咳と皮疹が発現した。3例目(ミシガン州で確認)は8月13日に発端者と同じ飛行機の発端者の1列前に座っていた53歳の女性で、8月25日に発熱と咳、28日に皮疹が発現した。4例目(ミシガン州で確認)は8月13日に発端者と同じデトロイトの税関にいた25歳の男性で、8月23日に喘鳴と腹痛、27日に皮疹が発現した。5例目(テキサス州で確認)は8月14日に発端者と接触した40歳男性で、8月26日に咳と発熱、28日に皮疹が発現した。本症例は入院前にヒューストンの3ヶ所の大学を訪問しており、6例目と7例目はその大学のルームメイトの男性2名(18歳、19歳)であった(9月11日に皮疹発現)。全7例中6例(4例目以外)で一致する遺伝子型D5の麻疹ウイルスが確認され、一連のウイルス伝播が示唆された。国際的な、特に青少年が参加する米国内での大規模イベントの主催者は、参加者に適切な予防接種に関する情報提供を考慮するべきである。このアウトブレイクは、疾患サーベイランスおよびアウトブレイク封じ込めを持続することの重要性と、高い予防接種率維持の必要性を強調する。

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