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MMWR抄訳

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2007/06/08Vol. 56 / No. 22

MMWR56(22):556-559
West Nile Virus Activity - United States, 2006

西ナイルウイルス活性-米国、2006年

西ナイルウイルス(WNV)は米国におけるアルボウイルス脳炎の主要原因であり、1937年にアフリカで初めて発見され、1999年に西半球ではニューヨーク市で初めて検出された。それ以来WNVは、米国において熱性疾患および重篤な神経系疾患の季節的流行を引き起こしている。この報告は、2007年4月3日時点でCDCに報告された2006年の暫定WNVサーベイランスデータを要約しており、ヒトあるいは動物へのWNV感染は過去に感染報告のなかった52郡に拡大し、過去に報告のあった1,350郡に再発生した。さらにこの期間、1,491件のWNV神経侵襲性疾患(WNND)症例が米国で報告され、2005年と比較して14%の増加となり、2003年以来最多となった。また、過去の血清調査からの外挿法に基づき、推定41,750例の非神経侵襲性WNV疾患が発生し、うち2,770例が報告された。これらの結果から、現行サーベイランス、蚊の抑制、蚊による刺傷予防策の促進、追加予防対策の研究等の必要性を強調している。WNYデータは、州保健省とCDCにより管理されるインターネットに基づくアルボウイルス・サーベイランスシステムのArboNETを通してCDCに報告される。2006年、ヒトWNV疾患は43州およびコロンビア特別区の731郡から合計4,261症例が報告され、うち1,491症例はWNND、2,612症例は西ナイル熱(WNF)、158症例は不特定疾患であった。WNND発生率の最も高い郡は主に中西部で、最も高い州はアイダホ州(10万人につき9.9症例)、サウスダコタ州(4.9)、ノースダコタ州(3.2)であった。WNND発生率は8月第1週にピークとなり、全体的傾向は過去6年間に見られる季節性と一致した。1,491名のWNND感染患者の年齢中央値は58歳(範囲;生後3カ月~99歳)、891名(59.8%)が男性であった。合計1,311名(87.9%)が入院し、161名(10.8%)が死亡した。WNND患者の合計101名(6.8%)は急性弛緩性麻痺を発症し、その年齢中央値は53歳(範囲;1~87歳)、62名(61.4%)は男性であった。12 名(11.9%)が死亡し、その年齢中央値は76歳(範囲;19~99歳)であった。2006年、死亡したWNV感染鳥類合計4,106羽が43州の701郡より報告され、うち38州の404郡は感染鳥類を報告したがヒトの疾患はなかった。鳥類のうちカラスは3,292羽(80%)で、大多数の州でカラスをサーベイランスの対象とした。1999年以来、WNV感染症は約300の鳥類に確認されており、これには2006年に最初にWNVが確認された11種が含まれた。ヒト以外の哺乳類における1,121件のWNV報告症例で、1,086例(96.9%)はウマ科の動物、35例(3.2%)はリス(33例)等に発症した。38州とコロンビア特別区の459郡における合計11,898の蚊プールが、WNV陽性反応を示した。

References

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