野生ポリオウイルス（WPV）感染の中断のない4ヵ国のうちの2ヵ国は、世界保健機関（WHO）東部地中海地域にあるパキスタンとアフガニスタンである。2006年1月～2007年2月、両国において報告されたWPV症例数は増加し、影響を受けた地域数は増加したが、ウイルスの遺伝的多様性は減少し、感染地域は限定されたままであった。この報告は、前回の報告を更新し、2006年1月～2007年2月のパキスタンおよびアフガニスタンにおけるポリオ症例と根絶活動について述べている。2国間国境の絶え間ない紛争地域において、ポリオ根絶にとって不可欠なものは、小児の高い予防接種率である。2006年、経口ポリオウイルスワクチン（OPV）3回投与の幼児定期予防接種率は依然低く、アフガニスタンとパキスタンで各69%、64%であった。しかし、3回投与のOPV接種率は、各国の州により大幅な差があり、アフガニスタンで20%～80%、パキスタンで42%～90%の範囲であった。接種率は、優れた健康インフラと管理体制を持ち、入手が容易で、識字レベルの高い地域においてより高率であった。2006年、パキスタンは12件の追加予防接種活動（SIAs）を実施し、6日間の全国一斉予防接種日（NIDs）、2日間の準NID（SNIDs）、WPV報告症例に対応した3件の大規模なSIAs、そしてアフガニスタンと共同で国境を挟む1件のSIAを行った。アフガニスタンは、5日間のNIDsと5日間のSNIDsを実施したが、ほとんどのSNIDsはパキスタンとの国境に沿って南部、南西部、東部地域にわたった。2007年の最初の2ヵ月間、パキスタンは2件のSIAs（INIDとISNID）を、アフガニスタンは2件のSNIDsを実施した。パキスタンのポリオ確認症例数は、2005年の17地区より報告された28症例から、2006年の20地区より報告された40症例まで増加した。40症例のうち20例はWPV1、20例はWPV3によるものであった。2007年2月までに、8地区から合計10のWPV3症例が報告された。2月28日時点で、6症例（2例がWPV1、4例がWPV3）が確認されている。アフガニスタンでは、2006年に31のWPV症例（29例がWPV1、2例がWPV3）が報告され、2005年の合計9症例に比較して増加した。2006年の31症例のうち20例（65%）は2歳未満の幼児に発症し、このうち6例（19%）はOPV非接種であり、10例（32%）はOPV1～3回投与を受けていた。2007年2月28日時点では、アフガニスタンにおいてポリオ症例は報告されていない。