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MMWR抄訳

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2007/02/09Vol. 56 / No. 5

MMWR56(5):96-97
Foodborne Botulism from Home-Prepared Fermented Tofu - California, 2006

自家製発酵豆腐による食品媒介性ボツリヌス中毒-カリフォルニア州、2006年

2006年12月、オレンジ郡保健局(OCHCA)およびカリフォルニア州保健省(CDHS)は、アジア系高齢者夫婦における食品媒介性ボツリヌス中毒の潜在的症例2件の届出を受けた。この報告は、その後の調査を要約し、その結果自家製発酵豆腐が原因であると同定している。住民は家庭で発酵豆腐を調理する際に、ボツリヌス中毒の危険性を認識する必要がある。ボツリヌス中毒は、脳神経麻痺および下行性弛緩麻痺を特徴とする毒素による麻痺性疾患である。食品媒介性ボツリヌス中毒は稀ではあるが、重篤性疾患の可能性、また多くの人への汚染食品曝露により、公衆衛生上の非常事態である。2006年11月28日、67歳の女性が複視に続き、翌日は眼瞼下垂症を発症した。眼科医は症状を長期糖尿病によるものとしたが、12月4日に患者は複視、下垂症、眩暈、嚥下困難、言語のもつれ、よだれ、右腕衰弱等で主治医を受診した。患者の75歳の夫も同様の症状を訴え、検査により両患者は集中治療室に入院した。12月5日、医師は食品媒介性ボツリヌス中毒を疑ってOCHCAに報告し、両患者の臨床検体を採取した。CDHSは、ボツリヌス抗毒素を病院に送り、両患者に投与した。両患者は1週間以上入院し、さらに症状変化はなかったが、Clostridium botulinum A型が両者の血清また便サンプルから検出された。両患者は多少の複視を有するものの、その他の点では回復した。12月5日には、OCHCAは患者宅で複数の疑わしい中毒原因を特定し、CDHSのMicrobial Diseases LaboratoryはPH6.8の豆腐検体にC. botulinum A型およびボツリヌス毒素A型を発見した。この報告症例で、C. botulinum 増殖と毒素産生は、複数の因子、すなわち1)豆腐はほぼ中性pHであり、2)煮ることで嫌気性環境をもたらし、3)調理中および調理後に数日間常温(約68°F~77°F[20℃~25℃]で保存した、等により促進されたと考えられる。この症例は、米国における自家製発酵豆腐摂取によるボツリヌス中毒の最初の症例である。

References

  • Sobel J, Tucker N, Sulka A, McLaughlin J, Maslanka S. Foodborne botulism in the United States, 1990-2000. Emerg Infect Dis 2004;10:1606-11.
  • CDC. Foodborne botulism from eating home-pickled eggs-Illinois, 1997. MMWR 2000;49:778-80.
  • Gao QY, Huang YF, Wu JG, Liu HD, Xia HQ. A review of botulism in China. Biomed Environ Sci 1990;3:326-36.

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