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MMWR抄訳

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2006/08/25Vol. 55 / No. 33

MMWR55(33): 913-916
Distribution of Insecticide-Treated Bednets During a Polio Immunization Campaign - Niger, 2005

ポリオ予防接種キャンペーン中に殺虫剤処理した蚊帳の配布-ニジェール、2005年

西アフリカのニジェール(2005年人口:約1400万人)は、世界最貧の1国である。2005年、マラリアは約76万人が報告され、2,000名の死をもたらしたが、調査は不十分で、実際の数はより多いと考えられる。2004年、5歳未満の子供のニジェールにおける全死亡率は、1,000出生に対して259であった。これらの死亡の少なくとも8%は、マラリアによると考えられた。また、実際の比率は50%にも達していると思われる。さらに、ニジェールは2006年の最初の3ヵ月間に急性灰白髄炎が発症した10ヵ国のうちの1国であり、隣接するナイジェリアからのポリオ輸入の危険性が高い。定期ポリオ予防接種率は未だ低く、2003年には3回投与量の経口ポリオワクチン(OPV)接種率は54%であった。マラリア羅患率を低下させ、ポリオ根絶対策を強化するために、ニジェール保健省は国際的なパートナーの援助により、2005年に全国的総合保健キャンペーンを開始した。OPVを配布する追加予防接種活動(SIA)と連携して、マラリア予防用の長期残効の殺虫剤処理した蚊帳(ITNs)が、5歳未満の子供を持つ母親に無料配布された。サハラ以南のアフリカでは、この蚊帳により1~59ヵ月の子供のあらゆる原因による死亡率が17%低下した。同様のキャンペーンは最初2004年12月にトーゴで実施されていたが、この報告は、ニジェールにおける総合保健キャンペーンの調査結果について述べ、トーゴとの違いに焦点を当てている。ニジェールのキャンペーンは、3段階で実施された。2005年11月12日から17日に、国内全8地域にOPVとビタミンAを5歳未満の子供に戸別追加予防接種活動中に配布した。同時に蚊帳を全面的に配布する前に、選択された地域に試験的に配布した。キャンペーンの第2段階は、2005年12月19日から24日に、ニジェール8地域のうちの7地域で実施された。戸別方法を使用し、3,850名のニジェール赤十字ボランティアまた約16,000名のワクチン接種担当者と地域医療従事者が、OPVを5歳未満の子供に接種した。実地調査員は予防接種を受けた子供を持つ母親の親指の爪に目印をし、無料の蚊帳引換券を提供、母親は子供の予防接種から1~5日後に券と爪の印を提示し、殺虫剤処理した蚊帳と引き換えた。キャンペーン第3段階は、2006年3月17日から21日に、8番目の地域(ニアメー)において実施された。そこでは適格の母親が、殺虫剤処理した蚊帳の引換券と交換した。同時に、12月に券を受取っているが蚊帳を受取っていない母親に蚊帳を配布するため、残りの地域で締めくくりのキャンペーンが実施された。キャンペーンの全段階は、国のメディア、ニジェール赤十字ボランティア、地域指導者、保健センターなどを通じて、幾つかの方法で宣伝され、蚊帳配布期間中、現場スタッフと医療従事者は蚊帳の使用を奨励した。

References

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