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MMWR抄訳

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2006/06/16Vol. 55 / No. 23

MMWR55(23): 645-648
Malaria in Multiple Family Members - Chicago, Illinois, 2006

家族を襲ったマラリア-イリノイ州、シカゴ、2006年

ヒトマラリアは、感染した雌のハマダラ蚊の刺傷によって感染する寄生虫症である。米国では、マラリア症例の大多数は適切な化学療法を受けずにマラリアの流行地を最近訪問した旅行者に発症している。この報告は、2006年にイリノイ州シカゴ近郊に住む家族に発症した5例の熱帯熱マラリア原虫によるマラリア症例について述べている。これらの症例は、マラリアの流行地への旅行者にとってマラリア予防法(例えば、蚊による刺傷回避、適切な化学的予防法)の重要性を明白に示している。2006年2月、10才、6才、4才の男子(患者1、2、3)が併発熱帯熱原虫マラリア(時には命に関わる恐れのあるマラリア)のため入院した。家族は7人で、両親と彼ら3人、11才と2才の姉妹(患者4、5)であった。家族は2005年と2006年初頭に、両親と長女の生まれた国であるナイジェリアに旅行した。3人の男子と2才女子の4人の子供は米国で生まれ、そこで家族は10年間生活をした。ナイジェリアへ旅行する前に、家族はマラリア薬について地方の保健所に問い合わせをし、抗マラリア薬は手に入ることを知った。しかし、薬は治療のみに使用され、化学的予防のために使用されるとは認識しなかったため、彼らは処方を受けなかった。母と3人の子供は、3ヶ月間ナイジェリアで過ごし、父と2人の上の子供は5週間滞在した。また家族はナイジェリアの地方に友達や親戚を訪ねた。旅行中、子供3人(患者2、3、5)は別々に発熱し、抗生物質で無事に治療を受けることができた。家族全員は2006年1月に米国に帰国した。帰国から2週間後、3人の男子と11才の女子は熱、頭痛を伴うインフルエンザ様症状を発症した。患者1、2、3は併発マラリアの症状発現で小児集中治療室へ送られ、ドキシサイクリン(患者1)またはクリンダマイシン(患者2、3)と静脈内キニジンとの併用投与が行われた。3人の寄生虫症は入院3日後に消滅し、1週間後には全快した。また3人の入院1日後に、血液塗抹標本検査により姉妹の熱帯熱マラリア原虫感染が確認されたが、寄生虫密度は低かった。姉妹は一般小児治療室に入院し、経口キニーネとドキシサイクリンあるいはクリンダマイシン併用の治療を受けた。入院3日後に寄生虫血症は軽快した。熱帯熱マラリア原虫感染は、患者1、2、3、4の治療前の血液検体についてCDCで行われるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって確認された。治療前の血液サンプルは患者5については確認されなかった。

References

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