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MMWR抄訳

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2005/07/01Vol. 54 / No. 25

MMWR54(25):628-630
Heat-Related Mortality - Arizona, 1993-2002, and United States, 1979-2002

熱を原因とする死亡率-アリゾナ,1993~2002年,アメリカ,1979~2002年

高熱は、人体が熱を発散させることができないために起こる体内温度の上昇である。体内温度[37℃(98゜F)]に近い大気熱での継続的曝露は、とくに若年層の人において潜在的死因となる。高熱による健康リスク評価のため、アリゾナの医療関係者とCDCは、アリゾナ州の熱関連の死亡・病気例について調査し、米国全体のケースと比較検討した。アリゾナは、長期にわたる強烈な夏の高熱が続き、7月初旬の日中最高気温は100゜F(38℃)以上であり、9月半ばまで持続することがある。1993-2002年において、アリゾナにおける死亡者の253例が熱曝露によるものであり、年齢調整死亡率は米国のなかでも最大であった。1979-2002年において、大気状態に起因する熱関連死亡は全米で計4,780例あり、1993-2002年におけるアリゾナの熱関連死亡例は、25歳以上において米国全体の3-7倍、また、100万人中25-34歳においては2人、85歳以上においては42人の死亡者があった。2001年7月、アリゾナPhoenix西部で新兵訓練をしていた14歳の少年が、幻覚を起こし土を食べ始めた。少年は、111゜F(44℃)という高熱の下、1-5時間直射日光に曝露していた。反応が無くなり、キャンプの監督者が浴槽に寝かせシャワーを浴びせたが、911に電話したときには少年の意識はすでに戻らず、その晩に死亡した。監察医により、死因は溺死と熱曝露による脱水症状と診断された。また、2004年8月午後5時50分頃、Phoenix郊外で2歳と4歳の姉妹が母親の車に閉じ込められ、反応を失っているのが発見された。子供は15分以上車に閉じ込められており、事件当時の室内および大気温度は記録されていないが、同日時の最高気温は90゜F(32℃)半ば-101゜F(38℃)であった。緊急医療サービス(EMS)が到着したとき、子供は非収縮性状態にあった。ヘリコプターでの移送中、骨内エビネフリンとアストロピンが複数処方され、緊急科(ED)での二人の直腸の温度は、姉106.4゜F(41.3℃)、妹105.0゜F(40.6℃)であった。ED到着後10分以内に二人とも死亡し、死因は脳水腫と高熱であると診断された。全国データによると、1979-2002年において4,780例は大気中の高温度を原因とする死亡であり、年齢数が報告された4,686例(98%)のうち260例(6%)は15歳未満の幼児であり、2,356例(50%)は15-64歳の成人、2,070例(44%)は65歳以上の高齢者であった。また、1979-2002年の間、3度(1980、1995、1999年)の熱波が襲い、同年の熱関連死亡例の年間比率は、65歳以上において最も高い割合を占めた。高温度の影響を受ける地域における公衆衛生機関は、熱死の危険にさらされている住民(65歳以上の老齢者など)に対して、特定地域の熱対策計画(HRP)を企画・実施する必要がある。

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