先天性マラリア－ナッソー郡,ニューヨーク州,2004年

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MMWR抄訳

2005/04/22Vol. 54 / No. 15

MMWR54(15):383－384
Congenital Malaria - Nassau County, New York, 2004

先天性マラリア－ナッソー郡,ニューヨーク州,2004年

ヒトマラリアは、Plasmodium属の4種類の赤血球内原虫による寄生虫疾患である。ヒトには感染性のメスハマダラカにより伝播するが、まれに輸血による伝播や先天的感染例もみられる。アメリカで報告されるマラリア感染症の多くは、マラリアが風土病である地域からの帰国者や移民により海外から輸入されたものである。この報告では、ニューヨーク州ナッソー郡で報告された先天性マラリア症例を紹介する。本症例は2000年以降にアメリカ内で報告された先天性マラリア症例としては5例目である。2004年4月、ナッソー郡で生まれた生後7週目の男児が前日から微熱が続くため入院した。敗血症の疑いにて抗生物質投与を行いながら血液・尿・CSFの培養などを行ったが、原因は明らかにならなかった。入院3日目、熱が下がったため退院した。退院後5日間の経過観察中にはヘモグロビン値とヘマトクリット値の低下以外、何の症状や徴候もみられなかったが、末梢血スメアにてマラリア原虫を認めたため再入院となった。検出されたマラリア原虫は、形態学的にはP.vivaxと一致した。クロロキンの投与によりマラリア原虫陰性となり、赤血球輸血によりヘモグロビン値も回復した。Nassau County Department of Healthによる調査で、この男児の母親は2003年6月にグアテマラから移住してきたことが明らかになった。出産前のリスク評価質問票にはマラリアの既往についての質問はなかった。またこの母親は妊娠5ヶ月目の2003年11月に発熱、筋肉痛、頭痛が発現し医療提供者に電話相談していた。またその2日後には頭痛と咽頭痛などのため地域の救急部を受診し、上気道感染症と診断されていた。乳児がマラリアと診断された後、母親も血液検査を行い、PCR法にてP.vivaxDNA陽性が確認されたためクロロキンとプリマキンによる治療を行った。1ヶ月後のインタビューにて、母親は2年前にグアテマラでマラリアと診断され治療を受けていたことが明らかになった。健康管理者は、特に発熱があり母親がマラリアを風土病とする地域からの移民である新生児および乳児の診察時にはマラリアも考慮する必要がある。

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