一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2004年(Vol.53)結核における人種による不均衡-南東部の一部の州,1・・・

MMWR抄訳

rss

2004/07/02Vol. 53 / No. 25

MMWR53(25):556-559
Racial Disparities in Tuberculosis - Selected Southeastern States, 1991-2002

結核における人種による不均衡-南東部の一部の州,1991~2002年

アメリカでは結核(TB)患者はかなり減少しているにもかかわらず、依然として非ラテンアメリカ系黒人のTB罹患率は非ラテンアメリカ系白人より高い。この人種によるTB罹患率の不均衡をよりよく理解するため、CDCはTB罹患率が他の州より高い南東部の7州(アラバマ、アーカンソー、ジョージア、ルイジアナ、ミシシッピ、サウスカロライナ、テネシー)における1991―2002年のTBサーベイランスデータを分析した。1991―2002年、これら7州では32,414例のTB患者が報告された。このうち18,038例(56%)は非ラテンアメリカ系黒人、11,506例(35%)は非ラテンアメリカ系白人であった。2002年のこの地域における非ラテンアメリカ系黒人のTB罹患率は11.3/10万人であり、非ラテンアメリカ系白人のTB罹患率(2.4/10万人)の4.7倍であった。1991―2002年、TB罹患率は非ラテンアメリカ系黒人で54%、非ラテンアメリカ系白人で64%低下した。TB罹患率の平均年間低下率は、1991―1996年には非ラテンアメリカ系黒人で3.2%、非ラテンアメリカ系白人で5.3%、1997―2002年にはそれぞれ9.5%、11.4%であった。この期間中、非ラテンアメリカ系黒人と非ラテンアメリカ系白人のTB罹患率の比は若干増加した(1991―1996年:4.0、1997―2002年:4.6)。2002年、社会経済的状態の低さとしばしば関連するTBの危険因子(大量飲酒、薬物使用、診断時更正施設入所者、HIV重感染)の保有率は、非ラテンアメリカ系黒人TB患者が非ラテンアメリカ系白人患者より高かった。5歳未満の小児TB患者の割合は非ラテンアメリカ系黒人が5%、非ラテンアメリカ系白人が1%であった。治療の一部あるいは全てが医療提供者により直接観察されている患者の割合は非ラテンアメリカ系黒人(94%)が非ラテンアメリカ系白人(85%)より多かった。この7州以外の州における2002年のTB罹患率は、非ラテンアメリカ系黒人(12.4/10万人)は7州と同程度(11.3)であったが、非ラテンアメリカ系白人(1.4/10万人)は7州(2.4)に比べ42%低く、黒人/白人の比は8.9で7州の比(4.7)の2倍であった。これらの州では危険因子保有率に関しても7州と同様の傾向がみられた。全人種/民族で新たなTB罹患率を1.0/10万人までに低下させるという2010年国民健康目標を達成するには、非ラテンアメリカ系黒人をターゲットとした効果的なTB予防戦略が必要である。

References

  • CDC. Reported tuberculosis in the United States, 2002. Atlanta, Georgia: U.S. Department of Health and Human Services, CDC, 2003.
  • CDC. Tuberculosis Information Management System (TIMS) User's Guide. Atlanta, Georgia: U.S. Department of Health and Human Services, CDC, 1998.
  • U.S. Department of Health and Human Services. Healthy People 2010, 2nd ed. Understanding and Improving Health and Objectives for Improving Health (2 vols.). Washington, DC: U.S. Department of Health and Human Services, 2000.
  • Ellis BA, Crawford JT, Braden CR, et al. Molecular epidemiology of tuberculosis in a sentinel surveillance population. Emerg Infect Dis 2002;8:1197-209.
  • Cantwell MF, McKenna MT, McCray E, Onorato IM. Tuberculosis and race/ethnicity in the United States: impact of socioeconomic status. Am J Respir Crit Care Med 1997;157:1016-20.
  • U.S. Census Bureau. Current Population Reports. Poverty in the United States: 2002. Washington, DC: U.S. Census Bureau, 2003;60-222. Available at <http://www.census.gov/prod/2003pubs/p60-222.pdf>.
  • Institute of Medicine. Unequal Treatment: Confronting Racial and Ethnic Disparities in Healthcare. Washington, DC: National Academy Press, 2002.
  • Rosenblum L, Crawford JT, Navin TR. Molecular epidemiology of tuberculosis [Letter]. N Engl J Med 2003;349:2364.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ