輸入ペスト－ニューヨーク市,2002年

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ホーム IMICライブラリ MMWR抄訳 2003年（Vol.52)輸入ペスト－ニューヨーク市,2002年

MMWR抄訳

2003/08/08Vol. 52 / No. 31

MMWR52(31) : 725-728
Imported Plague - New York City, 2002

2002年11月にニューメキシコ州のサンタフェからニューヨーク市(NYC)へ旅行した夫婦(夫53歳、妻47歳)が腺ペストと診断された。この夫婦は11月3日に発熱と片側性鼠径部アデノパシーを発症し、11月5日にNYCの救急診療部(ED)を受診した。夫は血液培養にてYersinia　pestis陽性で、11月6日の直接蛍光抗体法とPCR法でも同様の結果であった。妻も臨床症状や夫がY.pestis陽性であったことから腺ペストと推定された。夫は薬物療法を受けたが病状が悪化し、敗血性ペスト、急性腎不全、急性呼吸窮迫症候群、DICと診断され、ショック状態でICU管理となった。血液透析、機械換気、虚血による足切断を行い、6週間のICU滞在後回復した。妻は11月5日(急性期)と12月26日(回復期)に採取した血清検体にてY.pestisF1抗原特異的抗体価の上昇がみられ、腺ペストと確定診断された。妻は薬物療法後、合併症なく回復した。この夫婦は初診時、2002年7月のニューメキシコ州保健局(NMDOH)による所有地調査で採取されたネズミとノミからY.pestisが同定されたことを報告した。滞在していたホテルの医師はEDにペストの疑いのある2例が向かうことを伝え、病院側は感染予防措置を実施した。CDCはNMDOHなどと協力してテロの可能性を含め調査したが、この2例は自然感染の可能性が高いと判定されたため、記者会見で2例はペストが風土病のニューメキシコ州で曝露したと発表した。その後、ニューメキシコ州の夫婦の自宅で環境調査が行われた。この自宅で7月と11月に採取されたノミより分離されたY.pestisと夫からの分離菌は、PFGEなどで類似したパターンを示した。テロによる疾患が疑われる患者を診察する場合には迅速な診断と医療関係者、健康管理機関、一般市民の間での連携が重要である。

References

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