ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)重症急性呼吸器症候群(SARS)-シンガポール,2・・・
2003/05/09Vol. 52 / No. 18
MMWR52(18) : 405- 411
Severe Acute Respiratory Syndrome - Singapore,2003
シンガポールにおける重症急性呼吸器症候群(SARS)アウトブレイクの疫学的特徴と全国的な予防およびコントロール戦略の要約。Singapore Ministry of Health(MOH)はWHOとともにSARSアウトブレイクについて調査を続けている。2003年3月6日、MOHは2月下旬に香港へ旅行し、肺炎のため現地の病院に5日間入院した3例についての報告を受けた。これら3例は2月20、21日に香港のMホテルに宿泊しており、これは少なくとも13人の宿泊客に疾患を伝播したあるSARS患者の滞在期間と一致していた。3月14日、MOHは非定型肺炎によりTan Tock Seng Hospitalに入院した医療従事者2例を含む6例についての報告を受けた。全例が前述した3例のうちの1例(症例1)と密接に接触していた。3月下旬以降のアウトブレイクは速やかにSARSと認識されなかった患者による院内感染であると特徴づけられた。病院施設外の感染の拡大はSARS可能性例からタクシー運転手および患者の勤める卸売市場の同僚に伝播したことが起源であった。4月30日現在、シンガポールではSARS可能性例201例、疑い例722例が報告されている。自所性可能性例の最終隔離日は4月28日である。可能性例201例(4-90歳、中央値36歳)全例が入院し、143例(71%)は3-46日間(中央値:11日間)で退院した。22例(11%)は機械換気が必要で、25例(24-90歳、中央値53歳)が死亡した(死亡率12.5%)。可能性例26例では体液中からウイルス、ウイルス性核酸あるいはSARS関連コロナウイルス(SARS-CoV)に対する抗体が検出された。可能性例のうち84例(42%)は医療従事者(看護師49例、医師13例、その他22例)であった。また172例は症例1を介した伝播連鎖と関連しており、153例(76%)は医療施設内での感染であった。全国的なSARS予防およびコントロール戦略は、感染対策の強化よる院内感染の排除、空港や海港での健康スクリーニングと渡航勧告によるさらなる感染輸入の阻止、教育、追跡調査、隔離などによる市中伝播遮断を中心としている。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.