ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)最新情報:重症急性呼吸器症候群(SARS)-アメリ・・・
2003/04/25Vol. 52 / No. 16
MMWR52(16) : 359-360
Update:Severe Acute Respiratory Syndrome - United States, 2003
CDCとWHOは重症急性呼吸器症候群(SARS)について調査を続けている。世界各地およびアメリカ居住者におけるSARS患者の情報を更新し、SARS関連コロナウイルス(SARS-CoV)の感染エビデンスが確認された新たな1例の情報を要約する。2002年11月1日-2003年4月23日、WHOにはアメリカを含む25ヶ国から4,288例のSARS患者が報告され、うち251例が死亡した(死亡率5.8%)。4月23日現在、アメリカでは37州から245例のSARS患者がCDCに報告されている。うち39例(16%)では肺炎や急性呼吸窮迫症候群といったアメリカでの暫定的なSARS可能性例の定義に合致する症状がみられ、残る206例(84%)は発熱と呼吸器症状を発現した。可能性例39例中37例(94%)は中国本土、香港、シンガポール、ハノイ、トロントへの渡航歴があり、1例(3%)はSARS患者を治療した医療従事者で、1例(3%)は家族がSARS患者と接触していた。SARS-CoV検査では、血清中SARS-CoVに対する抗体またはRT-PCR法による呼吸器検体中のウイルスのエビデンスが確証された場合を陽性、発症から21日目以降に得られた回復期血清中にSARS-CoVに対する抗体が存在しない場合を陰性と判断しているが、4月23日現在、報告されたSARS患者245例のうち45例(18%)はSARS-CoV陽性、39例(疑い例:32、可能性例:7)は陰性と診断された。陰性であった可能性例中6例ではSARS-CoV感染が確認された。うち新たにペンシルベニア州で確認された52歳男性は、4月3日に疲労、筋肉痛、頭痛、悪寒、発汗、4月5日に下痢を発症した。4月14日に脱水症状と咳、重度の息切れを主訴として救急外来を受診し、SARS疑い例と確認された。4月15日の血清検体でSARS-CoVに対する抗体が示された。抗生物質療法などにより4月17日までに息切れは改善し、4月21日に退院した。この患者は3月29日-30日にトロントへ旅行していた。4月17日、CDCとPennsylvania Department of Healthはこの患者と接触があった医療従事者や家族などの健康状態を調査した。医療従事者4名、家族1名、その他接触のあった1名に軽度の呼吸器症状がみられたものの、その他のSARSの症状は認められなかった。現在、接触者全員の検体についてSARS-CoV検査を実施中である。SARSが疑われた場合には患者と医療関係者は即座に推奨されている感染予防措置をとり、その予防措置を持続的かつ正確に実施する必要がある。
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