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がんinfo

小児急性リンパ芽球性白血病

概説

このセクションの要点
  • 小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)とは、骨髄中で未成熟リンパ球(白血球の一種)が過度に多くつくられるがんの一種です。
  • 小児ALLにはサブグループがあります。
  • 家族歴及び放射線曝露により小児急性リンパ芽球性白血病の発生リスクに影響がでる可能性があります。
  • 小児急性リンパ芽球性白血病を疑う症状としては発熱や挫傷があります。
  • 小児急性リンパ芽球性白血病を発見し診断するために、血液と骨髄を調べる検査が行われます。
  • 諸条件により予後(治癒の可能性)や治療法の選択が変わります。

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)とは、骨髄中で未成熟リンパ球(白血球の一種)が過度に多くつくられるがんの一種です。

小児急性リンパ芽球性白血病(急性リンパ性白血病またはALLとも呼ばれます)は、血液と骨髄のがんです。このタイプのがんは未治療のままだと通常敏速に増悪します。小児において最も一般的ながんです。

通常、骨髄内ではやがて成熟した血液細胞となる幹細胞(未成熟細胞)がつくられます。血液幹細胞は骨髄系幹細胞かリンパ球系幹細胞になります。骨髄系幹細胞は以下の3種類の成熟した血液細胞の1つになります:
  • 赤血球:体のあらゆる組織に酸素やその他の物質を運びます。
  • 血小板:血液を凝固させて出血を予防する上で役立ちます。
  • 感染や病気と闘う顆粒球(白血球)
リンパ球系幹細胞はリンパ芽球細胞に成熟し、以下の3種類のリンパ球(白血球)の1つになります:
  • Bリンパ球は感染と闘うために役立つ抗体をつくります。
  • Tリンパ球は感染と闘うための抗体をつくるBリンパ球を補助します。
  • ナチュラルキラー細胞はがん細胞やウイルスを攻撃します。
ALLでは、過度に多くの幹細胞がリンパ芽球に成熟し、成熟したリンパ球にはなりません。これらのリンパ芽球は白血病細胞と呼ばれます。白血病細胞は感染と充分に闘うことができません。また血液と骨髄中ではリンパ球の数が増加することから、健常な白血球、赤血球、血小板の余地が少なくなります。このため感染、貧血、易出血性の生じる場合があります。

本PDQ要約は慢性リンパ性白血病について参照しています。白血病のさらに詳細な情報については以下のPDQ要約を参照してください: (注)*の項目はがんinfoの項目には含まれていません。

小児ALLにはサブグループがあります。

ALLには種々のサブグループがあります。
  • 影響を受ける血液細胞のタイプがBリンパ球かTリンパ球か
  • 診断時の年齢。例えば、1歳未満、1歳から10歳まで、10歳より年上(10代)
  • 特定の変化が染色体にあるかどうか。フィラデルフィア染色体陽性ALLは染色体変化の1つです。
より詳細については、ALLのサブグループの項を参照してください。

家族歴及び放射線被曝により小児急性リンパ芽球性白血病の発生リスクに影響がでる可能性があります。

病気を発症する危険を高めるものをリスク因子と呼びます。リスク因子をもつことは将来がんになるということを意味しません。また、リスク因子をもたないことは、将来がんにならないということを意味しません。リスクを持つ可能性がある人は医師に相談してください。ALLには次のようなリスク因子があります:
  • 白血病の兄弟姉妹がいる。
  • 白人またはヒスパニックである。
  • アメリカに在住している。
  • 出生前にX線照射を受けている。
  • 放射線被爆の経験。
  • 過去に化学療法や他の薬剤により免疫システムが弱化したことがある。
  • ダウン症などの遺伝子の変化、遺伝性疾患がある。

小児急性リンパ芽球性白血病を疑う症状としては発熱や挫傷があります。

小児ALLには発熱、挫傷や他の症状が現われることがあります。また他の状況でも同じ症状が現れることがあります。以下の症状がひとつでもみられた際には医師の診察を勧めます:
  • 発熱。
  • あざができやすい、または出血しやすい。
  • 点状出血(出血による皮下の平らで暗赤色の点状のしみ)。
  • 骨痛または関節痛。
  • 頸部、脇、胃、鼠径部の無痛のしこり。
  • 肋骨より下の疼痛または膨満感。
  • 脱力感、倦怠感または青ざめて見える。
  • 食欲不振。

小児急性リンパ芽球性白血病を発見し診断するために、血液と骨髄を調べる検査が行われます。

以下の試験や手法が用いられます:
理学的所見および既往歴:
全身を調べて、しこりや何か異常にみえるものなど疾患徴候を含めた一般的健康状態をチェックします。また患者さんの生活習慣や過去の疾患および治療の病歴についても調べます。
全血球数算定検査:
血液サンプルを採取し、下記の項目を調べる手法です:
  • 赤血球、および血小板数。
  • 白血球数と型。
  • 赤血球中のヘモグロビン(酸素を運ぶ蛋白質)量。
  • サンプルにおける赤血球の構成比率。
骨髄吸引・生検:
寛骨または胸骨に針を挿入して骨髄、血液および骨の小片を摘出します。病理医が骨髄、血液および骨を顕微鏡下で観察し、がんの徴候があるかどうかを調べます。
細胞遺伝学的分析:
リンパ球内の染色体に変化があるかどうかをみつけるために血液、骨髄サンプルを顕微鏡下で調べる検査室検査です。例えば、フィラデルフィア染色体陽性ALLにおいて染色体の一部が他の染色体に移動します。これは“フィラデルフィア染色体”と呼ばれています。染色体に変化があるかどうかを探すために蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などの他の検査が行われるかもしれません。
免疫表現型:
Bリンパ球またはTリンパ球から悪性リンパ球(がん)が生じていないかどうかを発見するため、血液、骨髄サンプル中の細胞を顕微鏡下で調べる検査です。
血液化学的検査:
身体中の器官、組織によって血液中に放出されるある物質の量を測定するために、血液サンプルを調べる方法です。ある物質の量が異常(正常値よりも高値か低値)である場合、それをつくる器官、組織における疾患の徴候である可能性があります。
胸部X線検査:
胸部内の器官と骨のX線像です。X線とは体内を通過して、リンパ節などの体内領域の写真をフィルム上に撮影できるエネルギービームの一種です。

諸条件により予後(治癒の可能性)や治療法の選択が変わります。

予後(治癒の可能性)と治療法は以下の条件によって異なるかもしれません:
  • 診断時の年齢と人種。
  • 初期治療後の白血球数減少速度。
  • Bリンパ球またはTリンパ球から白血球細胞が生じているかどうか。
  • リンパ球の染色体において何か変化が起きているかどうか。
  • 白血病が脳及び脊髄まで拡がっているかどうか。
  • 小児がダウン症であるかどうか。
初期治療後に白血病が再発(再起)したら、予後と治療法の選択は以下の条件によって異なかもしれません:
  • 初期治療後から再発までの期間。
  • 骨髄か骨髄外の場所に再発したか。

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病期

このセクションの要点
  • 小児急性リンパ芽球性白血病と診断されると、がんが中枢神経系(脳、脊髄)、精巣、または体の他の部分に拡がっているかどうかを調べる目的で諸検査を行います。
  • がんが体内に拡がる方法は3通りあります。
  • 小児急性リンパ芽球性白血病では、病期に代わりリスク群を用います。

小児急性リンパ芽球性白血病と診断されると、がんが中枢神経系(脳、脊髄)、精巣、または体の他の部分に拡がっているかどうかを調べる目的で諸検査を行います。

通常、がんの程度や拡がりは病期で説明されます。小児急性リンパ芽球性白血病においては病期に代わってリスク群を用います。リスク群を決定するために行われる検査には次のようなものがあります:
腰椎穿刺:
脊柱から脳脊髄液を集める方法です。針を脊柱に刺し行います。この方法はLPまたは脊椎穿刺とも呼ばれています。
胸部X線検査:
胸部内の器官と骨のX線像です。X線とは体内を通過して、リンパ節などの体内領域の写真をフィルム上に撮影できるエネルギービームの一種です。 白血球細胞が胸部の中央で腫瘤を形成しているかを見るために胸部X線検査が行われます。
精巣生検:
精巣から細胞や組織を採取し、病理医が顕微鏡下でがんの徴候があるか調べます。この方法は理学的検査中に精巣に異常がみられた場合のみ行われます。

がんが体内に拡がる方法は3通りあります。

がん細胞が血液以外に拡がると、固形がんを形成します。この過程は転移と呼ばれています。がん細胞が体内に拡がる方法は3通りあります:
  • 血液を透過して、がん細胞が血液を透過して、体内の脳、心臓のような固形組織内に進入し、固形がんを形成します。
  • リンパ系を透過して、がん細胞がリンパ系に侵入し、リンパ管を経て体内の他の部分に固形がんを形成します。
  • 固形組織を透過して、固形がんを形成したがん細胞が組織の周囲に拡がります。
新しい(転移性)腫瘍は原発部位の腫瘍と同じタイプのがんです。例えば、もし白血病細胞が脳に転移するのなら、脳のがん細胞は実際に白血病細胞です。その病気は脳のがんではなく、転移性白血病です。

小児急性リンパ芽球性白血病では、病期に代わりリスク群を用います。

ALLは診断時には、既に身体中に拡がっている血液細胞の病気であるためです。リスク群は治療を計画するのに使用されます。

リスク群は以下のようになります:
標準(低)リスク:
診断時に白血球数が50,000/μLより少ない1~9歳の患児
高リスク:
診断時に白血球数が50,000/μL以上の患児、1歳以下の患児、9歳以上の患児


リスク群に影響を及ぼす他の要因として以下のようなものがあります:
  • Bリンパ球あるいはTリンパ球で白血病細胞が見つかったかどうか。
  • リンパ球の染色体に特定の変化があるかどうか。
  • 白血病が、初期治療にどのくらいの速さで奏効したか。

リスク群を知ることは、治療を計画するために重要です。高リスクALL小児は、標準リスクALL小児より積極的治療を受けるのが通常です。

再発性小児急性リンパ芽球性白血病

再発性小児急性リンパ芽球性白血病は、一度治癒した後に再発したがんです。白血病は血液、骨髄、脳、精巣、脊髄または体の他の部分で再発します。

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治療法の概要

このセクションの要点
  • 小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対して様々なタイプの治療法があります。
  • 小児急性リンパ芽球性白血病患者さんは、小児白血病を専門に扱う医療チームにより治療計画を立ててもらうべきです。
  • 小児急性リンパ芽球性白血病の治療は通常3段階あります。
  • 標準的治療法として以下の4種類が用いられます:
    • 化学療法
    • 放射線療法
    • 幹細胞移植併用化学療法
    • 標的療法
  • 新しい治療法は現在、臨床試験で検証中です。
    • 大量化学療法
    • 標的療法
  • 臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。
  • がんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に患者さんは臨床試験に参加することができます。
  • フォローアップ検査が必要になるかもしれません。

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対して様々なタイプの治療法があります。

小児急性リンパ芽球性白血病に対して様々なタイプの治療法が適用されます。標準的治療法(現在用いられている治療法)もあれば、臨床試験において検証されているものもあります。治療法についての臨床試験は、現在行われている治療法の改善やがん患者さんの新しい治療法に対する情報を得るために行われるものです。現時点で標準的とされている治療法よりも新しい治療法の方が良いと示された場合、今度は新しい治療法が標準的治療法になる可能性があります。
小児におけるがんは稀であるため、臨床試験はよく検討し、慎重に行わなければなりません。いくつかの臨床試験は治療を始めていない患者さんにのみ開かれています。

小児急性リンパ芽球性白血病患者さんは、小児白血病を専門に扱う医療チームにより治療計画を立ててもらうべきです。

小児急性リンパ芽球性白血病治療は、小児がん専門医により監視されます。小児がん専門医は患児を小児白血病専門医や他分野の専門家に委託する場合もあります。専門家は以下のようになります:
  • 血液学専門医
  • がん専門医
  • 小児外科医
  • 放射線がん専門医
  • 内分泌学専門医
  • 神経学専門医
  • 病理学専門医
  • 放射線学専門医
  • 小児専門看護師
  • ソーシャルワーカー
  • リハビリテーション専門医
  • 精神科医
定期的な追跡調査が非常に重要です。治療終了後しばらくしてから副作用が発生する場合もあります。これらは遅発効果と呼ばれています。脳における放射線療法は小児の脳の発達に影響を与え、気分や感覚、学習または記憶の変化の原因にもなります。ALLの治療における遅発効果は二次的腫瘍の、特に脳腫瘍のリスクを含んできます。早期診断と治療は、これらの二次的な脳腫瘍の危険性を回避する可能性があります。4歳未満の小児は脳における放射線療法の副作用の高いリスクを持っています。これらの治療によっておきる遅発効果について小児のドクターと話しておくことが重要です。 小児がんの治療の遅発効果*についてはPDQの要約を参照してください。

(注)*この項目は「がんinfo」に含まれていません。

小児急性リンパ芽球性白血病の治療は通常3段階あります。

小児急性リンパ芽球性白血病は以下の段階になります:
  • 導入療法:
    治療の第一段階で、血液及び骨髄中の白血病細胞を殺すために行います。これにより白血病は寛解します。これはまた寛解導入段階とも呼ばれています。
  • 地固め療法/強化療法:
    治療の第二段階で、白血病寛解後に開始します。地固め療法/強化療法は再発の原因となる残存する非活性白血病細胞を殺すために行います。
  • 維持療法:
    治療の第三段階で、再発の原因となる残存する白血病細胞を殺すために行います。導入療法や地固め療法/強化療法よりも低用量の投薬でがん治療を行います。これはまた継続療法段階とも呼ばれています。

骨髄生検および吸引は全段階を通して行われます。それはどの程度よく白血病が治療に反応しているかを見るためです。

中枢神経(CNS)神聖療法と呼ばれる治療は、通常、導入療法と地固め療法/強化療法の間に行われ、しばしは維持療法の間に行われます。白血病細胞を殺すために内服や静脈注射による抗がん剤がCNS(脳や脊髄)の白血病細胞に届かないため、白血病細胞はCNSで”聖域”(隠れ場所)を見つけることが出来ます。特定の抗がん剤、高用量の特定の抗がん剤、剤髄腔内化学療法及び脳への放射線療法はCNSまで届くため、白血病細胞を殺し、がんの再発(再起)を防ぐことができます。CNSでの白血病細胞の成長を阻止するため、CNS聖域療法はCNS予防法とも呼ばれます。

標準的治療法として以下の4種類が用いられます:

化学療法
化学療法は、薬剤を用いてがん細胞を殺すかまたは細胞分裂を停止させることでがん細胞の増殖を停止させるがん治療のことです。口から服用したり、筋肉や静脈内に注入する化学療法では、薬剤は血流を通って全身のがん細胞に到達することができます(全身化学療法)。脳脊髄液(胸腔内)、器官あるいは腹部のような体腔に薬剤を直接注入する化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中にあるがん細胞に影響します(局所化学療法)。併用化学療法は1種類より多い抗がん剤を用いる治療法です。どの方法の化学療法が用いられるかは、治療されるがんのタイプと病期によって異なります。

静脈内に注入する髄腔内化学療法あるいは大量化学療法は、小児急性リンパ芽球性白血病が脳や脊髄まで拡がった場合あるいは拡がる可能性がある場合に用いられます。脳や脊髄に拡がるがんを予防する場合は、中枢神経系(CNS)聖域療法またはCNS予防法と呼ばれる治療法を用います。ALLの小児は治療の一部としてCNS聖域療法を受けます。

詳しい情報については急性リンパ芽球性白血病に対する承認薬を参照してください。
放射線療法
放射線療法は高エネルギーX線やその他の種類の放射線を用いてがん細胞を殺すかまたは成長させないでおくがん治療のことです。放射線療法には2つのタイプがあります。外照射は体外の機械を用いてがんに放射線を照射する治療法です。内照射は放射性物質を密封した針、シーズ、ワイヤー、カテーテルをがんの内部またはその近くに直接留置して、がんに放射線を照射する治療法です。脳及び脊髄まで拡がった小児急性リンパ芽球性白血病の治療の際は外照射が用いられます。この方法は中枢神経聖域療法または中枢神経系予防法と呼ばれています。
脳への放射線療法は小児における成長と脳の発達に影響を及ぼすため、ALLの多くの小児には放射線療法なしでの治療が行われます。脳と脊髄への放射線治療は、ときどきハイリスク郡の10代および小児へのCNS聖域治療として用いられます。臨床試験では低線量照射のような副作用がより少ない放射線療法を使った新しい方法が研究されています。
幹細胞移植併用化学療法
幹細胞移植は、大量化学療法時と時々放射線療法を行った後、がん治療により破壊された造血細胞を置き換える方法です。幹細胞(未成熟血液細胞)をドナーの血液または骨髄から取り出します。患者さんが大量化学療法と時々放射線療法を受けた後に、ドナーの幹細胞は注入により患者さんに戻します。再注入されたこれらの幹細胞は患者さんの血液細胞に成長し(または回復)させます。幹細胞移植には患者さんあるいは患者さん関係者でないドナーからの幹細胞が用いられます。

幹細胞移植は小児と10代のALL患者さんの初期治療として行われるのは希です。しばしば、再発(治療後の再起)ALLの治療の一部として用いられます。

詳しい情報については急性リンパ芽球性白血病に対する承認薬を参照してください。
標的療法
標的療法は、正常な細胞を傷つけずに特定のがん細胞を識別したり攻撃したりする薬剤や他の物質を用いる治療法のです。

チロシンキナーゼ(TKIs)は幹細胞を身体が必要とする以上の白血球(顆粒または芽球)に進行させる原因となる酵素であるチロシンキナーゼを遮断します。例えば、イマチニブ(グリベック)はフィラデルフィア染色体陽性ALLの小児に対する治療に用いられるTKIです。

詳しい情報については急性リンパ芽球性白血病に対する承認薬を参照してください。

新しい治療法は現在、臨床試験で検証中です。

このまとめのセクションでは、現在臨床試験を行っている治療法について述べますが、最新の臨床試験をすべて網羅できていない可能性があります。実施されている臨床試験についての情報はインターネットでNCI Web siteにアクセスすれば、入手できます。
大量化学療法
大量化学療法は、抗がん剤を大量投与してがん細胞を殺します。この療法はしばしば骨髄に血液細胞を作ることを停止させ、他の重篤な副作用を起こすことがあります。通常、大量化学療法の後に、骨髄を回復させるために幹細胞移植を行います。 臨床試験では、患者さんのために大量化学療法が行われます。これには、導入療法のあと寛解しないALLの小児、治療後に白血病を再発(再発)した小児も含まれます。
標的療法
標的療法は、正常な細胞を傷つけずに特定のがん細胞を識別したり攻撃したりする薬剤や他の物質を用いる治療法のです。

小児ALLの治療において、新しい種類の標的療法は検討中です。

臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。

何人かの患者さんにおいて臨床試験に参加することは最良の治療選択であるかもしれません。臨床試験はがんの研究過程の一つです。臨床試験は新たな治療法が標準的な治療法より安全で有効であるかを見つけ出すために行います。

がんに対する今日の標準的な治療法の多くは早期の臨床試験を基本にしています。臨床試験に参加する患者さんは標準的な治療を受けるか、初めて新しい治療を受けることになるかもしれません。

また、臨床試験に参加する患者さんは未来のがん治療法の改良を助けます。新しい治療法の臨床試験が有効性を示さなくても、しばしば重要な疑問の答えとなり、研究が前進するのを助けます。

がんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に患者さんは臨床試験に参加することができます。

いくつかの臨床試験はまだ治療を受けていない患者さんを対象としています。他の試験ではがんが回復していない患者さんに対する治療を評価します。がんが再発する(再起する)のを止めるか、がん治療の副作用を軽減する新しい方法を評価する臨床試験もあります。

臨床試験は国の多くの地域で行われています。治療法の項での現在の治療法の臨床試験へのリンクを参照してください。NCIの臨床試験リストから取り出してきます。

フォローアップ検査が必要になるかもしれません。

がんを診断するために行われた、あるいはがんの病期をみつけるために行われた検査が繰り返されるかもしれません。いくつかの検査は治療がどれぐらいよく効いているかをみるために行われるでしょう。治療を続ける、変更するか止めるかどうかの判断がこれらの検査結果を基に行われるかもしれません。これらはときどき再病期診断と呼ばれます。
いくつかの検査は治療が終わった後に時々継続して行われるでしょう。これらの検査結果は状態が変化したかどうか、またはがんが再発(再起)したかを示すことができます。これらの検査は時々、フォローアップ検査か定期検査と呼ばれます。

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病期別治療法

現在行われている臨床試験の検索結果へのリンクは各治療の項目に記載されています。いくつかのがんの種類や病期については、試験がリストされていないことがあります。リストされていなくても、実施されていると思われる臨床試験については主治医に相談してください。

新たに診断された小児急性リンパ性芽球性白血病

導入療法段階、地固め療法/強化療法段階および維持療法段階の小児急性リンパ性芽球白血病(ALL)の治療法には、以下があります。
  • 多剤併用化学療法。
  • 髄腔内化学療法によるCNS聖域療法と大量化学療法。時々、脳に対する放射線療法が行われることがあります。
  • 多剤併用化学療法後にドナーからの幹細胞を用いた幹細胞移植。
  • 放射線療法併用・非併用および/あるいは幹細胞移植下での、新しい多剤併用療法および髄腔内化学療法のレジメで行われる臨床試験。導入療法後の患者さんのリスク群によって化学療療法の投与量および/あるいはスケジュールは変わります。
  • 新しい抗がん剤の臨床試験。
現在、米国で未治療の小児急性リンパ性芽球性白血病の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

小児急性リンパ芽球性白血病サブグループ

T細胞小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療法には次のようなものがあります:
  • 多剤併用化学療法。髄腔内化学療法と脳に対する放射線療法によるCNS聖域療法が行われることがあります。
  • 検証中の新しい抗がん剤、特定の抗がん剤の用量と脳への放射線療法の臨床試験。
  • 新しい抗がん剤の臨床試験。
ALLの幼児の治療法には次のようなものがあります:
  • 多剤併用療法。髄腔内化学療法によるCNS聖域療法が行われることがあります。
  • 化学療法後のドナー幹細胞移植は検証されました。しかし、この治療法が生存を改良するのかはわかっていません。
  • 特定の遺伝子変化のある幼児への化学療法後のドナー幹細胞移植の臨床試験。
  • 多剤併用療法とチロシンキナーゼ剤による標的療法の臨床試験。
年長と十代の小児の治療法には次のようなものがあります:
  • 幼児に使われるものよりも強力な抗がん剤を用いる多剤化学療法。
  • 新しい化学療法のレジメでの臨床試験。
  • 検証中の新しい抗がん剤、特定の抗がん剤の用量と脳への放射線療法の臨床試験。
フィラデルフィア染色体陽性小児ALLの標準的治療法には次のようなものがあります:
  • 多剤併用化学療法後にドナーからの幹細胞を用いた幹細胞移植。
  • 多剤併用化学療法後にチロシンキナーゼ阻害剤(イマチニブメシレート)による標的療法の臨床試験。
  • 幹細胞移植併用・非併用下での、多剤併用療法と新しいチロシンキナーゼ阻害剤の臨床試験。
現在、米国でT細胞小児急性リンパ性芽球性白血病あるいはフィラデルフィア染色体陽性小児急性リンパ性芽球性白血病の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

再発性小児急性リンパ性芽球性白血病

骨髄内に再発した白血病の再発性小児急性リンパ性芽球性白血病(ALL)の標準的治療法は以下のようになります:
  • 併用化学療法。
  • 全身照射併用・非併用下での化学療法後にドナーからの幹細胞を用いた幹細胞移植。
骨髄以外に再発した白血病の再発性小児急性リンパ性芽球性白血病(ALL)の標準的治療法は以下のようになります:
  • 睾丸にのみ再発したがんに対する化学療法と放射線療法。
  • 脳と脊髄だけに再発したがんに対する脳および/または脊髄への放射線療法併用髄腔内化学療法と多剤併用化学療法。
再発性小児ALLに対していくつかの治療法が臨床試験下で検討されています。次のようなものがあります。
  • 新しい抗がん剤と新しい多剤併用化学療法での治療。
  • 多剤併用療法および新しい種類の標的療法。
現在、米国で再発性小児急性リンパ性芽球性白血病の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。
(2012年04月更新)

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