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ホームIMICライブラリがんinfo小児急性骨髄性白血病/その他の骨髄性悪性疾患

がんinfo

小児急性骨髄性白血病/その他の骨髄性悪性疾患

概説

このセクションの要点
  • 白血病およびその他の血液と骨髄の疾患は赤血球、白血球、血小板に影響を与える可能性があります。
  • 小児急性骨髄性白血病(AML)とは骨髄中で異常な血液細胞が多数つくられるがんの一種です。
  • その他の骨髄性疾患は血液と骨髄に影響を与えます。
    • 慢性骨髄性白血病(CML)
    • 若年性骨髄単球性白血病(JMML)
    • 一過性骨髄増殖症(TMD)
    • 骨髄異形成症候群
  • 小児AML、小児CML、JMML、TMDおよびMDSの発生リスク因子は類似しています。
  • 小児AML、小児CML、JMML、またはMDSを疑う徴候としては発熱、疲労感、易出血性または挫傷があります。
  • 小児AML、小児CML、JMML、TMDおよびMDSを発見し診断するために、血液、骨髄を調べる検査が行われます。
  • 諸条件により予後(治癒の可能性)や治療法の選択が変わります。

白血病およびその他の血液と骨髄の疾患は赤血球、白血球、血小板に影響を与える可能性があります。

通常、骨髄内ではやがて成熟した血液細胞となる血液幹細胞(未成熟細胞)がつくられます。血液幹細胞は骨髄系幹細胞かリンパ球系幹細胞になります。リンパ球系幹細胞は白血球に成熟します。骨髄系幹細胞は以下の3種類の成熟した血液細胞の1つになります:
  • 赤血球は体のあらゆる組織に酸素や他の物質を運びます。
  • 白血球は感染や疾患と闘います。
  • 血小板は出血を止めるために血栓を作ります。

小児急性骨髄性白血病(AML)とは骨髄中で異常な血液細胞が多数つくられるがんの一種です。

“急性”のがんは治療されない場合、通常迅速に増悪します。”慢性”のがんは通常緩慢に増悪します。AMLはまた急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性顆粒球性白血病、急性非リンパ性白血病とも呼ばれます。

AMLでは、通常骨髄系幹細胞は骨髄芽球(または骨髄様芽球)と呼ばれる未成熟白血球の一種になります。AMLにおける骨髄芽球または白血病細胞は異常で、健常な白血球にはなりません。白血病細胞は血液と骨髄中で増加するため、健常な白血球、赤血球、血小板の余地が少なくなります。これが起こると感染、貧血、易出血性の生じることがあります。白血病細胞は血液の外側の中枢神経系(脳および脊髄)、皮膚、歯肉を含めた体の他の部分まで拡がることがあります。白血病細胞は、ときに顆粒球性肉腫または緑色腫と呼ばれる固形腫瘍を形成します。

AMLのサブタイプには影響を受ける血液細胞の種類に基づいたものがあります。AMLの治療はサブタイプの一つである急性前骨髄性白血病(APL)である場合、あるいは小児がダウン症である場合は異なります。

その他の骨髄性疾患は血液と骨髄に影響を与えます。

以下の試験や手法が用いられます。
慢性骨髄性白血病
慢性骨髄性白血病(CML)では、過度の骨髄幹細胞が顆粒球と呼ばれている白血球の一種になります。これらの骨髄幹細胞のいくつかは決して白血球に成熟しません。これらは芽球と呼ばれます。時間が経過すると、顆粒球と芽球が骨髄中の赤血球と血小板を締め出します。CMLは小児に希な病気です。
若年性骨髄単球性白血病
若年性骨髄単球性白血病(JMML)は稀な小児がんですが、2歳前後の幼少児により頻繁に生じます。JMMLでは、過度の骨髄幹細胞が骨髄球、単球とよばれる2種類の白血球になります。これらの骨髄幹細胞のいくつかは決して白血球に成熟しません。これら未成塾の細胞(芽球とよばれています)は正常に機能することができません。時間が経過すると、骨髄球、単球、芽球が骨髄中の赤血球と血小板を締め出します。これが起こると、感染、貧血,易出血性の生じることがあります。
一過性骨髄増殖症
骨髄増殖性疾患(TMD)は、ダウン症候群の新生児に発症する骨髄の病気です。この病気は通常、生まれて最初の3週間以内に自然に消えます。ダウン症およびTMDの小児は、3歳になる前にAMLが発症する機会が大きくなります。
骨髄異形成症候群
骨髄異形成症候群(MDS)では、骨髄中で赤血球、白血球、血小板がほとんどつくられません。これらの血液細胞は成熟して血液中に流入することができません。MDSの治療法は正常な赤血球、白血球、血小板数がどの程度低下しているかによって異なります。MDSはAMLまで進展することがあります。

本要約は小児AML、小児CML、JMML、TMD、MDSについて参照しています。他の種類の白血病や血液・骨髄性疾患の情報については以下のPDQ要約を参照してください: (注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児AML、小児CML、JMML、TMDおよびMDSの発生リスク因子は類似しています。

病気を発症する危険を高めるものをリスク因子と呼びます。リスク因子を持っていることはあなたががんにかかるということを意味するのではありませんし、リスク因子を持っていないことはあなたががんにかからないということを意味するものでもありません。あんたのお子さんにリスクがあると考えられる場合には医師と相談してください。小児AML、小児CML、JMML、TMDおよびMDSのリスク因子には以下のようなものがあります:
  • 兄弟・姉妹、特に双子の同胞が白血病である。
  • ヒスパニック系人種である。
  • 喫煙、飲酒の胎内曝露歴がある。
  • MDS(前白血病とも呼ばれる)または再生不良性貧血の既往を有する。
  • 化学療法または放射線療法の前治療歴がある。
  • 電離放射線またはベンゼンなどの化学物質の曝露歴がある。
  • ある種の遺伝的障害を有する、例えは:
    • ダウン症
    • ファンコニ貧血
    • 神経繊維腫症1型
    • ヌーナン症候群
    • シュヴァッハマン・ダイアモンド症候群

小児AML、小児CML、JMMLまたはMDSを疑う徴候としては発熱、疲労感、易出血性または挫傷があります。

小児AML、小児CML、JMMLまたはMDSによって、以下の症状や他の症状がみられることがあります。他の状況によっても同様の症状がみられます。あなたのお子さんに以下の問題が1つでもみられた際には医師の診察を受けてください:
  • 感染症を伴うまたは伴わない発熱。
  • 寝汗。
  • 息切れ。
  • 脱力感または疲労感。
  • 挫傷や出血が生じ易い。
  • 点状出血(出血による皮下の平らで点状のしみ)。
  • 骨痛または関節痛。
  • 肋骨下の疼痛または膨満感。
  • 頸部、脇下、胃、鼠径部や体の他の部分における無痛性のしこり。小児AMLにおいて認められた場合、これらのしこりは皮膚白血病と呼ばれ、青色または紫色を示すことがあります。
  • 時に眼窩周囲にみられる無痛性のしこり。これらのしこりは時に小児AMLに認められるもので緑色腫と呼ばれ、青緑色を示すことがあります。
  • 湿疹様皮疹。
TMDには以下の症状がみられることがあります:
  • 身体腫脹。
  • 息切れ。
  • 呼吸困難。
  • 脱力感または疲労感。
  • 肋骨下の疼痛。

小児AML、小児CML、JMML、TMDおよびMDSを発見し診断するために、血液、骨髄を調べる検査が行われます。

以下の試験や手法が用いられます。
身体所見および既往歴:
全身を調べて、しこりや何か異常にみえるものなど疾患徴候を含めた一般的健康状態をチェックします。また患者さんのこれまでの生活習慣や過去の疾患および治療の病歴についても調べます。
全血球数(CBC)算定検査:
血液サンプルを採取し、下記の項目を調べる手法です:
  • 赤血球および血小板数。
  • 白血球数と型。
  • 赤血球中のヘモグロビン(酸素を運ぶ蛋白質)量。
  • 血液サンプルにおける赤血球の構成比率。
血液化学的検査:
身体中の器官、組織によって血液中に放出されるある物質の量を測定するために、血液サンプルを調べる手法です。ある物質の量が異常(正常値よりも高値か低値)である場合、それをつくる器官、組織における疾患の徴候である可能性があります。
胸部X線:
胸部内の器官と骨のX線照射を行います。X線とは体内を通過してフィルム上まで達し、体内を撮影する事ができるエネルギービームの1種です。
末梢血塗抹標本:
芽細胞の存在、白血球の数と種類、血小板数、血液細胞の形の変化について、血液サンプルを調べる手法です。
生検:
細胞または組織を採取して病理医が顕微鏡下で観察し、がんの徴候を調べます。小児AMLに対しては次のような生検が行われることがあります。
骨髄吸引・生検:
寛骨または胸骨に針を挿入して骨髄、血液、および骨の小片を採取します。
腫瘍生検:
緑色腫の生検が行われることがあります。
リンパ節生検:
一つのリンパ節全体または一部を採取します。
細胞遺伝学的分析:
染色体に明らかな変化をみつけるために血液、骨髄サンプル中の細胞を顕微鏡下で調べる検査室検査です。
免疫表現型:
細胞表面上の抗原またはマーカーのタイプに基づいて細胞を同定するために用いられる手法で、血液や骨髄細胞の特異的染色が行われることがあります。この手法は免疫系の正常な細胞とがん細胞を比較することでAMLのサブタイプを診断するために用いられます。
FISH(蛍光 in site ハイブリダイゼーション):
細胞や組織内の遺伝子あるいは染色体を調べるために用いられる検査手技です。実験室で蛍光染料を含むDNAの断片を作っておき、それをスライドグラスの上に置いた細胞や組織に添加します。このDNAの断片がスライド上で特定の遺伝子あるいは染色体の領域と結合した場合、特殊なライトを備えた顕微鏡で観察すると結合した部分を照らし出します。
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応検査(RT-PCR):
組織サンプル中の細胞が、遺伝子の構造や機能におけるある変化を探すために、化学物質を用いて行われる検査室検査です。
腰椎穿刺:
脊柱から脳脊髄液を採取するために用いられる手法です。これは脊柱に針を挿入することで行われます。この手法はLPまたは脊髄穿刺とも呼ばれます。

諸条件により予後(治癒の可能性)や治療法の選択が変わります。

AMLの予後(治癒の可能性)と治療法の選択は以下の条件によって異なります:
  • 診断時の患児の年齢。
  • 患児の人種あるいは民族。
  • 患児が極度の太り過ぎであるかどうか。
  • 診断時の血液中の白血球数。
  • AMLが以前の抗がん療法により誘発されたものかどうか。
  • AMLのサブタイプ。
  • 白血病細胞中の染色体あるいは遺伝子に明らかな変化があるかどうか。
  • 患児がダウン症であるかどうか。AMLとダウン症を有する患児のほとんどはこれらの白血病の治癒が可能である。
  • 患児が中枢神経(脳および脊髄)白血病であるかどうか。
  • 白血病が初回治療に対してどの程度早く奏効したか。
  • AMLが未治療または治療後の再発(再燃)であるかどうか。
  • 再発したAMLについて、治療終了からの時間の長さ。
小児CMLの予後(治療の可能性)は、患者さん診断後の時間および血液中の芽細胞の数によって異なります。

JMMLの予後(治癒の可能性)と治療法の選択は以下の条件によって異なります:
  • 診断時の患児の年齢。
  • 血液中の赤血球、白血球、血小板がどの程度多いか。
  • JMLLが未治療または治療後の再発であるかどうか。
MDSの予後(治癒の可能性)と治療法の選択は以下の条件によって異なります:
  • MDSが以前のがん治療により誘発されたものかどうか。
  • 赤血球、白血球、血小板がどの程度低下しているか。
  • MDSが未治療または治療後の再発(再燃)であるかどうか。

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病期

このセクションの要点
  • 小児急性骨髄性白血病(AML)と診断されたあと、がんが体の他の部分まで拡がっているかどうかを調べる目的で諸検査を行います。
  • がんが体内に拡がる方法は3通りあります。
  • 小児AML、小児慢性骨髄性白血病(CML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、一過性骨髄増殖症(TMD)、または骨髄異形成症候群(MDS)に対する標準的病期分類はありません。

小児急性骨髄性白血病(AML)と診断されたあと、体の他の部分に拡がっているかどうかを調べる目的で諸検査を行います。

通常、がんの程度や拡がりは病期で説明されます。小児急性骨髄性白血病(AML)では、AMLのサブタイプおよび白血病が血液や骨髄の外側に拡がっているかどうかを、治療計画を立てる上で病期の代わりに用います。白血病が拡がっているかどうかを明らかにするために以下の試験や手法が用いられます:
腰椎穿刺:
脊柱から脳脊髄液(CSF)を採取するために用いられる手法です。これは脊柱に針を挿入することで行われます。この手法はLPまたは脊髄穿刺とも呼ばれます。
睾丸、卵巣または皮膚の生検:
睾丸、卵巣、皮膚から細胞または組織を採取して顕微鏡下で観察し、がんの徴候を調べます。これは身体所見中に睾丸、卵巣または皮膚に何らかの異常が認められた場合にのみ行われます。

がんが体内に拡がる方法は3通りあります。

がん細胞が血液以外に拡がると、固形がんを形成します。この過程は転移と呼ばれています。がん細胞が体内に拡がる方法は3通りあります:
  • 血液を透過して、がん細胞が血液を透過して、体内の脳、心臓のような固形組織内に進入し、固形がんを形成します。
  • リンパ系を透過して、がん細胞がリンパ系に侵入し、リンパ管を経て体内の他の部分に固形がんを形成します。
  • 固形組織を透過して、固形がんを形成したがん細胞が組織の周囲に拡がります。
新しい(転移性)腫瘍は原発部位の腫瘍と同じタイプのがんです。例えば、もし白血病細胞が脳に転移するのなら、脳のがん細胞は実際に白血病細胞です。その病気は脳のがんではなく、転移性白血病です。

小児AML、小児慢性骨髄性白血病(CML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、一過性骨髄増殖症(TMD)、または骨髄異形成症候群(MDS)に対する標準的病期分類はありません。

小児AMLは新たに診断され、寛解期、再発として分類されます。
新たに診断された小児AML
新たに診断された小児AMLは、発熱、出血または疼痛などの症状を緩和する以外に治療は行われていません。以下の状況の1つが当てはまります:
  • 骨髄中の20%より多くの細胞が芽球(白血病細胞)である。
または、
  • 骨髄中の20%未満の細胞が芽球で染色体に特定の変化がある。
寛解期の小児AML
寛解期の小児AMLでは、疾患に対して治療が行われています。以下の状況が当てはまります:
  • 全血球数はほぼ正常である。
  • 骨髄中の5%未満の細胞が芽球(白血病細胞)である。
  • 脳、脊髄または体の他の部分に白血病の症状・徴候がみられない。
再発小児AML
再発小児急性骨髄性白血病(AML)は治療されたあとに再発(再燃)したがんです。がんは血液、骨髄または中枢神経系(脳や脊髄)など体の他の部分に再燃することがあります。

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治療法の概要

このセクションの要点
  • 急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、一過性骨髄増殖症(TMD)、または骨髄異形成症候群(MDS)の患児に対して様々なタイプの治療法があります。
  • AML、CML、JMML、TMD、またはMDSの患児に対しては小児白血病やその他の血液疾患の治療を専門とする医療従事者によって治療法を計画すべきです。
  • あるがん治療は治療終了後に数ヶ月あるいは数年後に副作用が生じることがあります。
  • 小児AMLの治療は通常2段階あります。
  • 小児AML、小児CML、JMML、TMD、またはMDSに対する標準的治療法として以下の7種類が用いられます。
    • 化学療法
    • 放射線療法
    • 幹細胞移植
    • チロシンキナーゼ阻害剤による標的療法
    • その他の薬物療法
    • 待機療法
    • 支持療法
  • 新しいタイプの治療法は現在、臨床試験で検証中です。
    • 標的療法
  • 臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。
  • がんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に患者さんは臨床試験に参加することができます。
  • フォローアップ検査が必要になるかもしれません。

急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、一過性骨髄増殖症(TMD)、または骨髄異形成症候群(MDS)の患児に対して様々なタイプの治療法があります。

AML、CML、JMML、TMD、またはMDSを有する患児に対して様々なタイプの治療法が適用されます。標準的治療法(現在用いられている治療法)もあれば、臨床試験において検証されているものもあります。治療法についての臨床試験は、現在行われている治療法の改善やがん患者さんの新しい治療法に対する情報を得るために行われるものです。現時点で標準的とされている治療法よりも新しい治療法の方が良いと示された場合、今度は新しい治療法が標準的治療法になる可能性があります。
小児のがんは稀なことから、臨床試験に参加することを検討すべきです。いくつかの臨床試験は治療を始めていない患者さんにのみ開かれています。

AML、CML、JMML、TMD、またはMDSの患児に対しては小児白血病やその他の血液疾患の治療を専門とする医療従事者によって治療法を計画すべきです。

治療は小児がんの治療を専門とする医師である小児腫瘍医に監督されます。小児腫瘍医は白血病患児の治療経験と専門知識を有し、特定医療分野の専門家である他の医療従事者と協力することがあります。下記の専門家が挙げられます:
  • 血液専門医
  • 腫瘍内科医
  • 小児外科医
  • 放射線腫瘍医
  • 神経科医
  • 神経病理医
  • 神経放射線医
  • 小児看護の専門家
  • ソーシャルワーカー
  • リハビリテーション専門家
  • 心理学者

あるがん治療は治療終了後に数ヶ月あるいは数年後に副作用が生じることがあります。

定期的なフォローアップ検診は非常に重要です。あるがん治療は治療終了後に継続して、あるいは数年間副作用が生じることがあります。 これらを遅発性副作用と呼びます。がん治療には以下の遅発性副作用があります:
  • 身体的問題
  • 気分、感覚、思考、学習、あるいは記憶についての変化
  • 二次がん(新しいタイプのがん)
いくつかの遅発性副作用は治療や管理ができる可能性があります。AMLあるいは他の血液疾患の治療を行った小児の両親は、がん治療が患児にもたらす影響について医師と相談することが重要です。さらに詳しい情報については「小児がんの治療に関する遅発性副作用」*のPDQ要約を参照してください。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児AMLの治療は通常2段階あります。

小児AMLの治療は次の2段階で行われます:
導入療法:
これは治療の第1段階で、血液、骨髄中の白血病細胞を殺すために行われます。これにより白血病は寛解期に入ります。
地固め/維持療法:
これは治療の第2段階で、白血病の寛解期中に開始されます。後寛解療法は活動性ではないが再増殖を開始し、再発を誘発する可能性のある残存白血病細胞を殺すために行われます。

中枢神経系(CNS)聖域療法と呼ばれる治療は、通常寛解導入療法中に行われます。標準用量の化学療法では、CNS(脳や脊髄)中の白血病細胞まで達しないため、白血病細胞はCNS内で“聖域をみつける”(隠れ場所)ことができます。髄腔内化学療法はCNS内の白血病細胞まで達することができ、それは白血病細胞を殺し、がんの再発(再燃)を予防することになります。CNS聖域療法はCNS予防法とも呼ばれます。

小児AML、小児CML、JMML、TMD、またはMDSに対する標準的治療法として以下の7種類が用いられます。

化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺すかまたは細胞分裂を停止させることでがん細胞の成長を停止させるがん治療法です。口から服用したり、筋肉や静脈内に注入する化学療法では、薬剤は血流を通って全身のがん細胞に達することができます(全身化学療法)。脳脊髄液(髄腔内化学療法)、器官または腹部などの体腔に薬剤を直接注入する化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中におけるがん細胞に影響します(局所化学療法)。多剤併用化学療法は複数の抗がん剤を用いる治療法です。

どの方法の化学療法が用いられるかは、治療されるがんの種類によって異なります。

AMLでは、白血病細胞は、脳および/または脊髄まで拡がる可能性があります。AMLを治療するための経口または静注による化学療法は、血液-脳関門を通過することができず、脳や脊髄をとりまく液体にはいり込みます。そのかわり、拡がっている可能性のある白血病細胞を殺すため、抗がん剤が液体で満たされた領域に注入されます。これは髄腔内化学療法と呼ばれます。

詳しい情報については急性骨髄性白血病に対する承認薬を参照してください。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線やその他の種類の放射線を用いてがん細胞を殺すかまたは成長させないでおくがん治療のことです。放射線療法には2つのタイプがあります。体外照射は体外の機械を用いてがんに放射線を照射する治療法です。体内照射は放射性物質を密封した針、シーズ、ワイヤ、カテーテルをがんの内部またはその近くに直接留置して、がんに放射線を照射する治療法です。体外照射は脳や脊髄まで拡がっているか、拡がる可能性のある小児AMLの治療に用いられます。この方法に用いられる場合、中枢神経系(CNS)聖域療法またはCNS予防法と呼ばれます。
幹細胞移植
幹細胞移植は、化学療法を行った後、異常なまたはがん治療により破壊された造血細胞を置き換える方法です。幹細胞(未成熟血液細胞)を患者さん、ドナーの血液または骨髄から採取して冷凍保存します。化学療法終了後に保存された幹細胞を解凍し、患者さんに再び注入します。再注入されたこれらの幹細胞は身体の血液細胞に成長(また回復)させます。
チロシンキナーゼ阻害剤による標的療法
標的療法は、正常な細胞を傷つけずに特定のがん細胞を識別したり攻撃したりする薬剤や他の物質を用いる治療法です。チロシンキナーセ阻害剤(TKI)の治療は、がんの成長に必要なきっかけを阻止する標的療法の1種類です。チロシンキナーゼ阻害剤は、幹細胞を身体が必要とする以上の白血球(顆粒または芽球)に進行させる原因となる酵素であるチロシンキナーゼを遮断します。イマチニブ(グリベック)は小児CMLの治療に用いられるTKIの1つです。

TKIsはアジュバント療法(初期治療の後にがんが再発するリスクを下げるために行われる治療)として他の抗がん剤と組み合わせて使用されるかもしれません。

詳しい情報については骨髄増殖性疾患に対する承認薬を参照してください。
その他の薬物療法
特定の染色体変化による脊髄異形成症候群の患者さんでは輸血の必要性を少なくするために、レナリドミドが使用されることがあります。

三酸化ヒ素とオールトランスレチノイン酸(ATRA)は白血病細胞を殺すか、白血病細胞の分裂を停止するか、または白血病細胞が白血球に成熟するのを助ける抗がん剤です。これらの薬剤は急性前骨髄性白血病(APL)と呼ばれるAMLのサブタイプの治療に用いられます。

詳しい情報については急性骨髄性白血病に対する承認薬を参照してください。
待機療法
待機療法は徴候が現われるまで、または変化がみられるまで治療を行わずに患者さんの状態を慎重に観察する方法です。これは時にMDSまたはTMDの治療に用いられます。
支持療法
支持療法は疾患あるいはその治療によって起こる問題を管理するときに用います。支持療法には以下があります:
  • 輸血療法:疾患またはがん治療によって破壊された血液細胞を置き換えるため、赤血球、白血球あるいは血小板を投与する方法。血液は別の人から提供されたり、または早期に採取され必要とされるまで保存されることもあります。
  • 薬物療法、たとえば抗生物質
  • 白血球搬出法:血液から白血球を取り出すために特殊な機械を用いる方法。 血液を患者さんから採取し、血液細胞分離装置を使って白血球を取り除きます。残った血液を患者さんの血流にもどします。

新しい治療法は現在、臨床試験で検証中です。

このまとめのセクションでは、現在臨床試験を行っている治療法について触れますが、最新の臨床試験をすべて網羅できていない可能性があります。実施されている臨床試験についての情報はインターネットでNCI Web siteにアクセスすれば、入手できます。
標的療法
標的療法は、正常な細胞を傷つけずに特定のがん細胞を識別したり攻撃したりする薬剤や他の物質を用いる治療法の1つです。標的療法であるモノクローナル抗体、プロテアソーム阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤およびナチュラルキラー(NK)細胞は小児AML治療に対して研究下にあります。

モノクローナル抗体療法は、一種類の免疫系細胞から実験室で作成された抗体を用います。これらの抗体はがん細胞上にある物質やがん細胞の増殖を促進する可能性のある正常物質を同定することができます。抗体はこれらの物質に付着してがん細胞を殺すか増殖を阻害あるいは拡散を防ぎます。モノクローナル抗体は注入により投与されます。これらは単独で用いられる他、がん細胞まで薬剤、毒素、または放射性物質を直接送達するために用いられることもあります。モノクローナル抗体はアジュバント療法として化学療法と併用されます。

プロテアソーム阻害剤はがん細胞中の蛋白質を破壊し、がん細胞を殺します。ボルテゾミブは小児急性骨髄性白血病の治療に用いられるプロテアソーム阻害剤です。

チロシンキナーゼ阻害剤であるソラフェニブは、小児AML治療に対して研究下にあります。

ナチュラルキラー(NK)細胞は腫瘍細胞を殺すことが出来る白血球細胞です。この細胞はドナーから採取され、白血病細胞を殺すのを助けるために注入により患者に注投与されるかもしれません。

臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。

何人かの患者さんにおいて臨床試験に参加することは最良の治療選択であるかもしれません。臨床試験はがんの研究過程の一つです。臨床試験は新たな治療法が標準的な治療法より安全で有効であるかを見つけ出すために行います。

がんに対する今日の標準的な治療法の多くは早期の臨床試験を基本にしています。臨床試験に参加する患者さんは標準的な治療を受けるか、初めて新しい治療を受けることになるかもしれません。

また、臨床試験に参加する患者さんは未来のがん治療法の改良を助けます。新しい治療法の臨床試験が有効性を示さなくても、しばしば重要な疑問の答えとなり、研究が前進するのを助けます。

がんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に患者さんは臨床試験に参加することができます。

いくつかの臨床試験はまだ治療を受けていない患者さんを含んでいます。他の試験はがんが回復していない患者さんに対する治療を評価します。がんが再発する(再起する)のを止めるか、がん治療の副作用を軽減する新しい方法を評価する臨床試験もあります。

臨床試験は国の多くの地域で行われています。治療法の項での現在の治療法の臨床試験へのリンクを参照してください。NCIの臨床試験リストから取り出してきます。

フォローアップ検査が必要になるかもしれません。

がんを診断するために行われた、あるいはがんの病期をみつけるために行われた検査が繰り返されるかもしれません。いくつかの検査は治療がどれぐらいよく効いているかをみるために行われるでしょう。治療を続ける、変更するか止めるかどうかの判断がこれらの検査結果を基に行われるかもしれません。これらはときどき再病期診断と呼ばれます。

いくつかの検査は治療が終わった後に時々継続して行われるでしょう。これらの検査結果は状態が変化したかどうか、またはがんが再発(再起)したかを示すことができます。これらの検査は時々、フォローアップ検査か定期検査と呼ばれます。

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病期別治療法

現在行われている臨床試験の検索結果へのリンクは各治療の項目に記載されています。いくつかのがんの種類や病期については、試験がリストされていないことがあります。リストされていなくても、実施されていると思われる臨床試験については主治医に相談してください。

新たに診断された小児急性骨髄性白血病

新たに診断された小児急性骨髄性白血病(AML)の治療法には次のようなものがあります:
  • 多剤併用化学療法と髄腔内化学療法による中枢神経系聖域療法
  • 異なった化学療法レジメンを比較する臨床試験(投与量と治療スケジュール)
  • 幹細胞移植併用・非併用下での多剤併用化学療法およびプロテアソーム阻害剤あるいはチロシンキナーゼ阻害剤による標的療法の臨床試験
新たに診断された顆粒球性肉腫(緑色種)を併発した小児急性白血病の治療には放射線療法併用・非併用下での化学療法を用いることがあります。

現在、米国で未治療の小児急性骨髄性白血病およびその他の骨髄性悪性腫瘍の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

寛解期の小児急性骨髄性白血病

寛解期(地固め/維持療法)中の小児急性骨髄性白血病(AML)の治療法はAMLのサブタイプによって異なります。次のようなものがあります:
  • 多剤併用化学療法
  • 幹細胞移植
  • 化学療法後のナチュラルキラー細胞移植を併用した標的療法の臨床試験
  • 幹細胞移植併用・非併用下での多剤併用化学療法およびプロテアソーム阻害剤あるいはチロシンキナーゼ阻害剤による標的療法の臨床試験
現在、米国で寛解期の小児急性骨髄性白血病の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

再発性小児急性骨髄性白血病

再発性小児急性骨髄性白血病(AML)の治療法はAMLのサブタイプによって異なります。次のようなものがあります:
  • 多剤併用化学療法
  • 多剤併用化学療法と幹細胞移植
  • 2回目の幹細胞移植
  • 新規抗がん剤、新規生物学的製剤の組み合わせおよび異なったソースの幹細胞を用いた幹細胞移植の臨床試験
現在、米国で再発性小児急性骨髄性白血病の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

急性前骨髄性白血病

急性前骨髄性白血病の治療には次のようなものがあります:
  • オールトランスレチノイン酸(ATRA)+化学療法
  • 三酸化ヒ素療法
  • 髄腔内化学療法による中枢神経系聖域療法
  • 三酸化ヒ素療法およびオールトランスレチノイン酸+低用量化学療法の臨床試験
支持治療は、感染症、出血、貧血などの疾患による問題を管理するために使われます。

現在、米国で急性骨髄性白血病の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

再発性急性前骨髄性白血病

再発性急性前骨髄性白血病の治療には次のようなものがあります:
  • オールトランスレチノイン酸(ATRA)療法+化学療法
  • 三酸化ヒ素療法
  • モノクローナル抗体による標的療法
  • 幹細胞移植

ダウン症小児およびAML

ダウン症候群の小児における急性骨髄性白血病の治療には多剤併用化学療法+髄腔内化学療法による中枢神経系聖域療法を用いることがあります。

小児慢性骨髄性白血病

小児慢性骨髄性白血病の治療には次のようなものがあります:
  • グリベックによる標的療法
  • グリベックが奏効しなかったか治療後に再起した患者さんへの幹細胞移植あるいは他のチロシンキナーゼ阻害剤
  • 他のチロシンキナーセ阻害剤による標的療法
  • 低投与化学療法を用いた幹細胞移植の臨床試験
現在、米国で小児慢性骨髄性白血病の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

若年性骨髄単球性白血病

若年性骨髄単球性白血病(JMML)の治療法は通常幹細胞移植が行われます。幹細胞移植後にJMMLが再発した場合に、2回目の幹細胞移植が行われるかもしれません。

現在、米国で若年性骨髄単球性白血病の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

一過性骨髄増殖症

一過性骨髄増殖症(TMD)は通常自然に消えます。自然に消えないTMDについては、次のような治療法があります:
  • 輸血療法
  • 白血球搬出法
  • 化学療法
現在、米国で急性骨髄性白血病/一過性骨髄増殖症の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

骨髄異形成症候群

骨髄異形成症候群の治療法には次のようなものがあります:
  • 待機療法
  • 幹細胞移植
  • 多剤併用化学療法
  • レナリドミド療法
  • 低用量化学療法を用いた幹細胞移植の臨床試験
  • 新しい抗がん剤あるいは標的療法の臨床試験
支持療法の治療は、たとえば感染症、出血、貧血などの疾患が原因となった問題の管理を行います。

MDSが急性骨髄性白血病(AML)に進行した場合は、新たにAMLと診断された患者さんの治療と同様になります。

現在、米国で小児の骨髄異形成症候群の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。
(2012年08月更新)

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