がんが子宮頚部内にとどまっているか、それとも体の他の部分まで拡がっているかを調べる目的で行われる検査を「病期診断」といいます。病期診断の過程で集められた情報から、病期を決定します。最善の治療計画を立てるためには病期を把握することが重要です。病期診断の過程で用いられる検査や方法には次のようなものがあります:
胸部X線検査:
胸部の臓器と骨のX線照射を行います。X線とは体内を通過してフィルム上まで達し、体内を撮影することができるエネルギービームの一種です。
CTスキャン(CATスキャン):
いろいろな角度から体内の詳細な像を連続的に撮影します。像はX線撮影装置と連動したコンピューターにより作られます。造影剤を静脈内に注入または飲み込むと、臓器や組織がよりはっきり示されます。この方法はまたコンピューター断層撮影法、またはコンピューター体軸断層撮影法とも呼ばれています。
リンパ管造影法:
リンパ系のX線写真を撮る方法です。下肢のリンパ管に造影剤を注入します。造影剤はリンパ節やリンパ管を通って上昇し、閉塞箇所があればX線写真を撮ります。この検査はがんがリンパ節まで拡がっているかどうかを明らかにするために役立ちます。
治療前の開腹による病期診:
がんが子宮頚部内にとどまっているか、それとも体の他の部分まで拡がっているかを調べる目的で手術療法(手術)を行います。子宮頚がんを同時に取り除くこともあります。通常、治療前外科的病期診は臨床試験の一部としてのみ行われます。
超音波検査:
体内の組織や臓器に高エネルギーの超音波を流し、エコーをつくります。エコーは体内組織をソノグラムと呼ばれる像に変えます。
MRI(磁気共鳴画像法):
磁石、電波、コンピューターを用いて体内の詳細な像を連続的に撮影します。この方法は核磁気共鳴イメージング(NMRI)とも呼ばれています。
これらの検査結果と最初に行った腫瘍生検の結果と併せて検討し、子宮頚がんの病期を決定します。
これらの検査の結果は、原発腫瘍の生検の結果と併せて、子宮頸がんの病期判定の際の判断材料となります。
穿刺吸引(FNA)生検:
細い針を用いて組織または体液を採取します。
がんが体内に拡がる方法は以下のように3通りあります:
- 組織を透過して、がんが周囲の正常組織に侵入します。
- リンパ系を透過して、がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を経て体内の他の部分に移動します。
- 血液を透過して、がんが静脈と毛細血管に侵入し、血液を経て体内の他の部分に移動します。
がん細胞が原発部位(初めの腫瘍)から離脱してリンパや血液を経て体内の他の部分に移動すると、別の腫瘍(二次性腫瘍)を形成するかもしれません。この過程を転移と呼んでいます。二次性腫瘍(転移性腫瘍)は原発部位の腫瘍と同じタイプのがんです。例えば、もし乳がんが骨に転移するのなら、骨のがん細胞は実際に乳がんのがん細胞です。その病気は骨のがんではなく、転移性乳がんです。
上皮内がん(0期)
上皮内がん(0期)では、異常な細胞は子宮頚部のいちばん表面の細胞層にのみみられます。これらの異常な細胞はがんになり、近くの正常な組織に拡がる可能性があります。
I期
I期では、がんは子宮頚部にのみ形成され、認められます。認められるがんの量により、IA期とIB期に分けられます。
IA期:
顕微鏡でみないと検出できない、ごく微量のがんが子宮頚部の組織に認められます。腫瘍の大きさによりIA期はIA1期とIA2期に分けられます。
- IA1期では、がんの浸潤の深さは3mm以内で、拡がりは7mm以内です。
- IA2期では、がんの浸潤の深さは3mmを越え5mm以内で、拡がりは7mm以内です。
IB期:
IB期はIB1期とIB2期に分けられます。
- IB1期では
- がんは顕微鏡でみないと検出でず、浸潤の深さは5mmを超え、拡がりは7mmを超えています。
- がんは肉眼でわかるほどの大きさで、4cm以内です。
- IB2期では、がんは肉眼でわかるほどの大きさで、4cmを越えます。
II期
II期では、がんは子宮頚部を越えて拡がっていますが、骨盤壁(腰の内部の一部を覆っている組織)、あるいは膣の下1/3までは拡がっていません。II期は、がんがどの程度まで拡がっているかによって、IIA期とIIB期に分けられます。
IIA期:
がんは、子宮頚部を越えて腟の上2/3まで拡がっていますが、まだ子宮周辺の組織までは拡がっていません。IIA期は、がんがどの大きさによって、IIA1期とIIA2期に分けられます。
- IIA1期では、腫瘍は肉眼でわかるほどの大きさで、4cm以内です。
- IIA2期では、がんは肉眼でわかるほどの大きさで、4cmを越えます。
IIB期:
がんは、子宮頚部を越えて子宮周辺の組織まで拡がっています。
III期
III期では、がんは腟の下1/3まで、および/または骨盤壁まで拡がっていて、および/または腎障害を起こしています。III期は、がんがどの程度まで拡がっているかによりIIIA期とIIIB期に分けられます。
IIIA期:
がん細胞は腟の下1/3まで拡がっていますが、骨盤壁までは拡がっていません。
IIIB期:
- がんは骨盤壁まで拡がっており:および/あるいは
- 腫瘍は尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)を塞ぐほど大きくなっています。この閉塞により腎臓が肥大したり、機能しなくなったりすることがあります。
IV期
IV期では、がんは膀胱、直腸または体の他の部分にまで拡がっています。IV期はがんが認められる場所によって、IVA期とIVB期に分けられます。
- IVA期では、がんは膀胱、直腸などの隣接臓器まで拡がっています。
- IVB期では、がんは肝臓、肺、骨または遠隔リンパ節など、身体の他の部位にまで拡がっています。
再発性子宮頚がんは治療後に再発した(再び生じた)がんのことをいいます。再発性子宮頚がんは子宮頚部に起こることも体の他の部分に起こることもあります。