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がんinfo

皮膚がん

概説

このセクションの要点
  • 皮膚がんとは皮膚組織中に悪性(がん)細胞が生じる疾患です。
  • 皮膚から発生するがんにはいくつかの種類があります。
  • 皮膚の色と日光照射は非メラノーマ皮膚がんと日光角化症のリスクを増加することがあります。
  • 非メラノーマ皮膚がんと日光角化症は時に皮膚の変化として現われることがあります。
  • 非メラノーマ皮膚がんと日光角化症を発見し診断するために、皮膚を調べるための検査または処置が行われます。
  • 諸条件により予後(回復の見込み)や治療法の選択が変わります。

皮膚がんとは皮膚組織中に悪性(がん)細胞が生じる疾患です。

皮膚は、体の中で最も大きな器官です。皮膚は熱、日光、損傷および感染から体を保護し、また体温の調節や水分、脂肪、ビタミンDの保持に有用です。皮膚はいくつかの層から構成されていますが、主に表皮(上層または外層)と真皮(下層または内層)の2層に分けられます。皮膚がんは表皮から生じますが、表皮は以下の3種類の細胞から構成されています:
扁平上皮細胞:
表皮の最上層を形成する薄く扁平な細胞。
基底細胞:
扁平上皮細胞の下にみられる円形細胞。
メラノサイト:
表皮の下部にみられる細胞で、皮膚に自然な色調を与える色素であるメラニンを生成します。皮膚が日光を浴びると、メラノサイトはより多くの色素を生成し、皮膚は褐色になります。
皮膚がんは全身のあらゆる部分に生じる可能性がありますが、顔面や頸部、手部、腕など日光を多く浴びる皮膚に最も多く生じます。

皮膚から発生するがんにはいくつかの種類があります。

最も一般的な種類は基底細胞がんと扁平上皮がんで、これらは非メラノーマ皮膚がんと呼ばれます。非メラノーマ皮膚がんは体の他の部位まで拡がることは稀です。一方、皮膚がんの最も稀な形態であるメラノーマは周辺組織に浸潤し、体の他の部位まで拡がる可能性がより高くなります。日光角化症はひとつの皮膚状態ですが、時に扁平上皮がんに進行することがあります。

本要約では非メラノーマ皮膚がんと日光角化症について参照しています。メラノーマや皮膚にみられる他の種類のがんについての情報は以下のPDQ要約を参照してください:
  • メラノーマの治療
  • 菌状息肉症およびセザリー症候群*の治療
  • カポジ肉腫*の治療
  • メルケル細胞*がんの治療
  • 小児期の稀ながん*
  • 皮膚がんの遺伝学*
(注)*の項目はがんinfoの項目には含まれていません。

皮膚の色と日光照射は非メラノーマ皮膚がんと日光角化症のリスクを増加することがあります。

疾患を発症する可能性を高めるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子があるからといって、がんになるとは限りませんし、リスク因子がないからといって、がんにならないというわけでもありません。リスクがあると考えられる場合、担当の医師に相談してください。基底細胞がんと扁平上皮がんのリスク因子には次のようなものがあります:
  • 長期間にわたり自然光や(タンニングベッドからなどの)人工太陽光を浴びる。
  • 色白で、以下の特徴を含む場合。
    • そばかすがあり炎症を起こしやすく、日焼けしていないまたはあまり日焼けしていない白い肌。
    • 青、緑または明るい色の瞳。
    • 赤またはブロンドの髪。
  • 日光角化症である。
  • 放射線療法の既往がある。
  • 免疫系の機能が低下している。
  • 皮膚がんに関連する遺伝子にある種の変化を認める。
  • ヒ素の曝露歴がある。
日光角化症のリスク因子には次のようなものがあります。
     
  • 長期間にわたり自然光や(タンニングベッドからなどの)人工太陽光を浴びる。
  • 色白で、以下の特徴を含む場合。
    • そばかすがあり炎症を起こしやすく、日焼けしていないまたはあまり日焼けしていない白い肌。
    • 青、緑または明るい色の瞳。
    • 赤またはブロンドの髪。

非メラノーマ皮膚がんと日光角化症は時に皮膚の変化として現われることがあります。

皮膚の変化がすべて非メラノーマ皮膚がんまたは日光角化症の徴候であるとは限りませんが、皮膚に何らかの変化がみられた場合は、医師の診察を受けるべきです。

非メラノーマ皮膚がんを疑う症状として次のようなものがあります:
  • 治癒しないただれ。
  • 皮膚の一部に次のようなものがみられる場合。
    • 滑らかで光沢があり真珠のようにみえる隆起。
    • 白色、黄色または青白く瘢痕のようにみえる硬結。
    • 赤色または赤褐色の隆起。
    • 鱗状で出血を伴うかさぶた。
日光角化症を疑う症状として次のようなものがあります:
  • 平坦または隆起した皮膚上に赤色、ピンクまたは茶色のざらざらした隆起性鱗屑状斑点。
  • 下唇にリップクリームやワセリンが効かない亀裂や剥皮。

非メラノーマ皮膚がんと日光角化症を発見し診断するために、皮膚を調べるための検査または処置が行われます。

次のような処置が用いられます:
皮膚の診察:
医者または看護師が、色、大きさ、形状、触感から異常にみえる隆起や斑点がないか皮膚を調べます。
生検:
異常にみえる増殖部のすべてまたは一部を皮膚から切除し、病理医が顕微鏡下で観察して、がんの徴候がないかを調べます。主に3種類の皮膚生検があります:
  • 薄片生検:滅菌処理したカミソリの刃を用いて異常にみえる増殖部を削り取ります。
  • パンチ生検:パンチまたは穿孔器と呼ばれる専用の器具を用いて異常にみえる増殖部から組織を円形に取り除きます。
  • 切除生検:メスを用いて全ての増殖部を取り除きます。

諸条件により予後(回復の見込み)や治療法の選択が変わります。

予後(回復の見込み)は、主にがんの病期とがんを切除するために用いた治療法の種類によって異なります。
治療法の選択は、以下の状況に応じて異なりなります。
  • がんの病期(がんが皮膚のより深い部分まで拡がっているか、または体の他の部位まで拡がっているか)。
  • がんの種類。
  • がんの大きさとがんが認められる体の部位。
  • 患者さんの全身状態。

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病期

このセクションの要点
  • 非メラノーマ皮膚がんと診断された後、がん細胞が皮膚内にとどまっているか、それとも体の他の部位まで拡がっているかを調べる目的で諸検査を行います。
  • がんが体内に広がる方法は3通りあります。
  • 非メラノーマ皮膚がんの病期分類は腫瘍が特定の高リスク特性を有しているか、眼瞼に腫瘍があるかどうかによって異なります。
  • 眼瞼以外の非メラノーマ皮膚がんに対して以下の病期が用いられます:
    • 0期(表皮内がん)
    • I期
    • II期
    • III期
    • IV期
  • 眼瞼の非メラノーマ皮膚がんに対して以下の病期が用いられます:
    • 0期(表皮内がん)
    • I期
    • II期
    • III期
    • IV期
  • 治療法は、診断された他の皮膚の状態または非メラノーマ皮膚がんの種類によります:
    • 基底細胞がん
    • 扁平上皮細胞がん
    • 日光角化症

非メラノーマ皮膚がんと診断された後、がん細胞が皮膚内にとどまっているか、それとも体の他の部位まで拡がっているかを調べる目的で諸検査を行います。

がん細胞が皮膚内および体の他の部位まで拡がっているかどうかを調べるために行われる検査を「病期診断」といいます。病期診断のために行われた検査で得られた情報から、疾患の病期が決定されます。最善の治療計画を立てるためには病期を把握することが重要です。

非メラノーマ皮膚がんの病期は、しばしば生検だけで確かめられます。扁平上皮細胞がんでは、がんがリンパ節まで拡がっているかどうかを調べるためにリンパ節を検査することがあります。

がんが体内に広がる方法は3通りあります。

がんが体内に広がる方法は以下のように3通りあります:
  • 組織を透過して、がんが周囲の正常組織に侵入します。
  • リンパ系を透過して、がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を経て体内の他の部分に移動します。
  • 血液を透過して、がんが静脈と毛細血管に侵入し、血液を経て体内の他の部分に移動します。
がん細胞が原発部位(初めの腫瘍)から離脱してリンパや血液を経て体内の他の部分に移動すると、別の腫瘍(二次性腫瘍)を形成するかもしれません。この過程を転移と読んでいます。二次性腫瘍(転移性腫瘍)は原発部位の腫瘍と同じタイプのがんです。例えば、もし乳がんが骨に転移するのなら、骨のがん細胞は実際に乳がんのがん細胞です。その病気は骨のがんではなく、転移性乳がんです。

非メラノーマ皮膚がんの病期分類は腫瘍が特定の高リスク特性を有しているか、眼瞼に腫瘍があるかによって異なります。

眼瞼にある非メラノーマ皮膚がんの病期分類は、体の他の部位に影響をおよぼす非メラノーマ皮膚がんの病期分類とは異なります。

眼瞼以外の非メラノーマ皮膚がんに対する高リスク特性には次のようなものがあります:
  • 腫瘍の厚さが2mmを超えている。
  • 腫瘍がクラークレベルIV(表皮下層まで拡がっている)またはクラークレベルV(皮下脂肪層まで拡がっている)として示される。
  • 腫瘍が神経経路に沿って増殖し拡がっている。
  • 腫瘍は耳あるいは唇に発生し、そこに毛がある。
  • 腫瘍が顕微鏡下で正常細胞とは非常に異なって見える細胞を有する。

眼瞼以外の非メラノーマ皮膚がんに対して以下の病期が用いられます。

0期(表皮内がん)
0期では、表皮層(皮膚の最上層)の扁平上皮細胞または基底細胞のなかに異常細胞が認められます。これらの異常細胞はがん化して隣接する正常組織に拡がっていく可能性があります。0期は表皮内がんとも呼ばれます。
I期
I期では、がんが形成されています。腫瘍の最大径は2cm以下ですが、1つの高リスク特性を有していることがあります。
II期
II期では腫瘍は以下のいずれかになります。
  • 腫瘍の最大径が2cmを超えている。あるいは
  • 大きさにかかわらず、2つ以上の高リスク特性を有している。
III期
III期では腫瘍は以下のいずれかになります:
  • 腫瘍は顎、眼窩、頭蓋側面まで拡がっています。腫瘍のある同じ身体側の1ヵ所のリンパ節までがんが拡がっているかもしれません。リンパ節は3cmを超えていません。
    あるいは
  • 腫瘍のある同じ身体側の1ヵ所のリンパ節までがんが拡がっています。リンパ節は3cmを超えませんが、以下のいずれか1つが当てはまります。
    • 腫瘍の最大径は2cmを越えていないが、1つの高リスク特性を有している。
    • 腫瘍の最大径が2cmを超えている。
    • 腫瘍の大きさにかかわらず、2つ以上の高リスク特性を有している。
IV期
IV期では、以下の1つが当てはまります:
  • 腫瘍は大きさにかかわらず、顎、眼窩、頭蓋側面まで拡がっている可能性があります。がんは腫瘍のある同じ身体側の1ヵ所のリンパ節まで拡がっており、その浸潤リンパ節の大きさは3cm以上6cm未満である場合、またはがんが身体の片側または両側の2ヵ所以上のリンパ節まで拡がっており、その浸潤リンパ節の大きさは6cm未満の場合があります。
  • 腫瘍は大きさにかかわらず、顎、眼窩、頭蓋、脊椎、肋骨まで拡がっている可能性があります。がんは1ヵ所のリンパ節まで拡がっており、6cm以上の大きさです。
  • 腫瘍は大きさにかかわらず、頭蓋底、脊椎、肋骨まで拡がっています。がんは複数のリンパ節まで拡がっている可能性があります。
  • がんが肺など身体の他の部位まで拡がっています。

眼瞼の非メラノーマ皮膚がんに対して以下の病期が用いられます。

0期(表皮内がん)
0期では、表皮層(皮膚の最上層)のなかに異常細胞が認められます。これらの異常細胞はがん化して隣接する正常組織に拡がっていく可能性があります。0期は表皮内がんとも呼ばれます。
I期
I期は、IA期、IB期およびIC期に分類されます。
  • IA期:腫瘍は5mm以下で、眼瞼の結合組織あるいはまつげの縁まで拡がっていません。
  • IB期:腫瘍は5mm~10mmで、眼瞼の結合組織あるいはまつげの縁まで拡がっています。
  • IC期:腫瘍は10mm~20mmで、眼瞼の全層に拡がっています。
II期
II期では腫瘍は以下のいずれか1つが当てはまります。
  • 腫瘍が20mmを超えている。
  • 腫瘍は眼あるいは眼窩の隣接部まで拡がっています。
  • 腫瘍は眼瞼で神経周囲の空間に拡がっています。
III期
III期は、IIIA期、IIIB期およびIIIC期に分類されます。
  • IIIA期:腫瘍の全てを切除するために、眼全体と一部の視神経を切除しなければならないでしょう。眼の周囲の骨、筋肉、脂肪および結合組織も切除されるかもしれません。
  • IIIB期:腫瘍は眼の中あるいは眼の近くのどこにでもあり、隣接のリンパ節に転移しています。
  • 腫瘍は眼の周囲や顔の構造あるいは脳に拡がっていて、手術手は摘出できません。
IV期
腫瘍は体の遠隔部位に拡がっています。

治療法は、診断された他の皮膚の状態または非メラノーマ皮膚がんの種類によります:

基底細胞がん
基底細胞がんは皮膚がんの最も一般的なタイプです。通常、基底細胞がんは日光露出部皮膚に生じますが、鼻に最もよく生じます。このがんは滑らかな真珠のように見える隆起瘤としてよく出現します。これとは別に、瘢痕のようにみえますが、平坦で、堅い、白色、黄色、青白いものもあります。基底細胞がんはがんの周囲組織まで拡がる可能性がありますが、通常体の他の部位までは拡がりません。
扁平上皮細胞がん
扁平上皮細胞がんは、耳、下唇および手の甲など日光露出部皮膚に生じます。また火傷や化学薬品または放射線照射を受けた皮膚の部分に出現することもあります。このがんはよく堅くて赤色状の腫瘤として出現します。腫瘍は鱗屑性、出血性、痂皮形成性にみえることがあります。扁平上皮細胞腫瘍は隣接リンパ節まで拡がる可能性があります。扁平上皮細胞がんは、拡がらず通常治癒が可能です。
日光角化症
日光角化症はがんではありませんが、時に扁平上皮細胞がんに変化する場合があるひとつの皮膚状態です。日光角化症は通常、顔、手の甲、下唇など日光を浴びる皮膚の部分に生じます。このがんは平坦あるいは隆起した皮膚上に赤色、ピンクまたは茶色のざらざらした鱗状斑として見えるか、リップクリームやワセリンが効かない下唇の亀裂または剥皮として生じます。

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治療法の概要

このセクションの要点
  • 非メラノーマ皮膚がんと日光角化症患者さんに対して様々なタイプの治療法があります。
  • 標準的治療法として以下の4種類が用いられます:
    • 手術療法
    • 放射線療法
    • 化学療法
    • 光力学的療法
    • 生物学的療法
  • 新しい治療法は現在、臨床試験で検証中です。
  • 臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。
  • がんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に患者さんは臨床試験に参加することができます。
  • フォローアップ検査が必要になるかもしれません。

非メラノーマ皮膚がんと日光角化症患者さんに対して様々なタイプの治療法があります。

非メラノーマ皮膚がんと日光角化症患者さんに対して様々なタイプの治療法が適用されます。標準的治療法(現在用いられている治療法)もあれば、臨床試験において検証されているものもあります。治療法についての臨床試験は、現在行われている治療法の改善やがん患者さんの新しい治療法に対する情報を得るために行われるものです。現時点で標準的とされている治療法よりも新しい治療法の方が良いと示された場合、今度は新しい治療法が標準的治療法になる可能性があります。 臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。いくつかの臨床試験は治療を始めていない患者さんにのみ開かれています。

標準的治療法として以下の4種類が用いられます:

手術療法
非メラノーマ皮膚がんと日光角化症の治療に対して、次の外科的処置のいくつかが用いられることがあります:
モース顕微鏡手術:
薄層中の皮膚から腫瘍を切除します。手術中に腫瘍の断端部および切除した腫瘍の各皮膚層を顕微鏡で観察してがん細胞を調べます。がん細胞がみられなくなるまで各皮膚層を続けて切除します。このタイプの手術はできる限り正常組織を切除しないで行われることから、顔面に生じた皮膚がんの切除によく用いられます。
単純切除術:
がんの周囲の正常組織も含めて皮膚からがんを切除します。
剃刀切除術:
小剃刀を用いて皮膚表面から異常な部分を切除します。
電気乾固と掻爬術:
キューレット(鋭利なスプーン型器具)を用いて皮膚から腫瘍を切除します。その後、出血を止めたり創傷断端の周囲に残存するがん細胞を破壊するために、針状電極を用いて切除部分に電流を流して治療します。この処置は、がんをすべて切除するために手術中に1~3回繰り返し行われることがあります。
冷凍手術:
上皮内がんなどの異常な組織を冷凍し、破壊するために装置を用います。この処置は冷凍療法とも呼ばれます。
レーザー手術:
レーザー光線(細くて強力な光線)をメスがわりに用いて細胞を無血で切ったり、がん病巣の表面を取り除く手術的方法です。
皮膚剥削術:
回転する車輪状の装置または小粒子を用いて皮膚細胞を浅く削り、皮膚の最上層を切除します。
放射線療法
放射線療法は高エネルギーX線やその他の種類の放射線を用いてがん細胞を殺したり、成長を妨げるがん治療のことです。放射線療法には2つの種類があります。外照射は体外の機械を用いてがんに放射線を照射する治療法です。腔内照射は放射性物質を密封した針、シーズ、ワイヤ、カテーテルをがんの内部またはその近くに直接留置して、がんに放射線を照射する治療法です。放射線療法の方法はがんの種類や病期によって異なります。
化学療法
化学療法は、薬剤を用いてがん細胞を殺すかまたは細胞分裂を停止させることでがん細胞の増殖を停止させるがん治療のことです。口から服用したり、筋肉や静脈内に注入する化学療法では、薬剤は血流を通って全身のがん細胞に影響することができます(全身療法)。脳脊髄液、臓器、腹部などの体腔に薬剤を直接注入する化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中にあるがん細胞に影響します(局所化学療法)。非メラノーマ皮膚がんと日光角化症に対する化学療法は通常局所的に行われます(皮膚にクリームまたはローションを外用する)。化学療法はがんの種類や病期によって異なります。

時に、皮膚の扁平上皮がんの治療にレチノイド(ビタミンAに関連した薬剤)が用いられます。

詳しい情報については基底細胞がん対する承認薬を参照してください。
光力学的療法
光力学的療法(PDT)は、薬剤を用いて、光線を照射するとがん細胞を死滅させる療法です。光線が暴露されるまで活性化しない薬剤を静脈に注入します。この薬剤は正常な細胞よりがん細胞に集まります。皮膚がんに対し、光線を皮膚にあてることで薬物が活性化し、がん細胞を死滅させます。光力学的療法は正常な組織にほとんど損傷を与えません。
生物学的療法
生物学的療法は、患者さん自身のがんと闘う免疫システムを利用する治療法です。自らの体内でつくられる物質や実験室で作成された物質を用い、患者さん自身のがんに対するもともとの抵抗力を高め、方向づけしたり、回復させたりします。このタイプのがん治療はまた生物療法または免疫療法とも呼ばれています。

インターフェロンとイミキモドは皮膚がんの治療に用いられる生物学的治療薬剤です。インターフェロン(注射によって)は皮膚の扁平上皮がんの治療に用いられることがあります。局所イミキモド療法(皮膚に塗布されるクリーム)は小さな基底細胞がんの治療に用いられることがあります。

新しい治療法は現在、臨床試験で検証中です。

実施されている臨床試験についての情報はインターネットでNCI Web siteにアクセスすれば、入手できます。

臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。

何人かの患者さんにおいて臨床試験に参加することは最良の治療選択であるかもしれません。臨床試験はがんの研究過程の一つです。臨床試験は新たな治療法が標準的な治療法より安全で有効であるかを見つけ出すために行います。

がんに対する今日の標準的な治療法の多くは早期の臨床試験を基本にしています。臨床試験に参加する患者さんは標準的な治療を受けるか、初めて新しい治療を受けることになるかもしれません。

また、臨床試験に参加する患者さんは未来のがん治療法の改良を助けます。新しい治療法の臨床試験が有効性を示さなくても、しばしば重要な疑問の答えとなり、研究が前進するのを助けます。

がんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に患者さんは臨床試験に参加することができます。

いくつかの臨床試験はまだ治療を受けていない患者さんを含んでいます。他の試験はがんが回復していない患者さんに対する治療を評価します。がんが再発する(再起する)のを止めるか、がん治療の副作用を軽減する新しい方法を評価する臨床試験もあります。

臨床試験は国の多くの地域で行われています。治療法の項での現在の治療法の臨床試験へのリンクを参照してください。NCIの臨床試験リストから取り出してきます。

フォローアップ検査が必要になるかもしれません。

がんを診断するために行われた、あるいはがんの病期をみつけるために行われた検査が繰り返されるかもしれません。いくつかの検査は治療がどれぐらいよく効いているかをみるために行われるでしょう。治療を続ける、変更するか止めるかどうかの判断がこれらの検査結果を基に行われるかもしれません。これらはときどき再病期診断と呼ばれます。

いくつかの検査は治療が終わった後に時々継続して行われるでしょう。これらの検査結果は状態が変化したかどうか、またはがんが再発(再起)したかを示すことができます。これらの検査は時々、フォローアップ検査か定期検査と呼ばれます。

基底細胞がんおよび扁平上皮がんは、通常5年以内に再発(再起)あるいは新しい腫瘍が発生するかもしれません。がんの徴候を調べるために皮膚検査をどのくらいの頻度で受けるのかは担当医と相談してください。

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病期別治療法

現在行われている臨床試験の検索結果へのリンクは各治療の項目に記載されています。いくつかのがんの種類や病期については、試験がリストされていないことがあります。リストされていなくても、実施されていると思われる臨床試験については主治医に相談してください。

基底細胞がん

基底細胞がんの治療には次のようなものがあります:
  • 単純切除術。
  • モース顕微鏡手術。
  • 放射線療法。
  • 電気乾固と掻爬術。
  • 冷凍手術。
  • 光力学的療法。
  • 局所化学療法。
  • イミキモドによる局所生物学的療法。
  • レーザー手術。
再発基底細胞がんの治療は通常モース顕微鏡手術です。

転移あるいは局所療法で治療できない基底細胞がんの治療は、通常、化学療法あるいは新しい治療法の臨床試験です。

現在、米国で基底細胞がんの患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

扁平上皮がん

扁平上皮がんの治療には次のようなものがあります:
  • 単純切除術。
  • モース顕微鏡手術。
  • 放射線療法。
  • 電気乾固と掻爬術。
  • 冷凍手術。
再発扁平上皮がんの治療には次のようなものがあります:
  • 単純切除。
  • モース顕微鏡手術。
  • 放射線療法。
転移あるいは局所療法で治療できない扁平上皮がんの治療には次のようなものがあります:
  • 化学療法。
  • モース顕微鏡手術。
  • 放射線療法。

現在、米国で扁平上皮がんの患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

日光角化症の治療法

日光角化症はがんではありませんが、がんに進展する可能性があるので治療が行われます。日光角化症の治療には次のようなものがあります:
  • 局所化学療法。
  • イミキモドによる局所生物学的療法。
  • 冷凍手術。
  • 電気乾固と掻爬術。
  • 皮膚剥削術。
  • 剃刀切除術。
  • 光線力学療法。
  • レーザー手術。
現在、米国で日光角化症の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。
(2012年07月更新)

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